【いまさら聞けない!シリーズ】イグアナで多い病気「代謝性骨疾患」

非常に残念なことではありますが、イグアナで見られる病気のほとんどは不適切な飼育環境が原因で起こると言っても過言ではありません。その中でも、最も多く診断されているのが代謝性骨疾患です。1992〜1996年までのオンタリオ獣医学院における回顧的研究では、来院したトカゲの84.4%が代謝性骨疾患と診断されています。爬虫類専用フードや飼育器具の改善によりその数は減ってきてはいるものの、臨床の現場では今でも日常的にこの病気に遭遇します。今回はイグアナの代謝性骨疾患について、主な症状と実際に行われている検査や治療法についてご紹介します。

主な症状

主な症状として、低カルシウム血症に伴う症状と、骨の形態的および機能的な異常に伴う症状に分けられます。前者では食欲不振、活動性の低下、痙攣および振戦が見られます。消化管の蠕動運動が停止し、総排泄腔、結腸、卵管の脱出が起こることもあるのです。後者では背骨が曲がる、骨軟化症に続発する病的骨折や発育不良が見られます。病態生理学的には低カルシウム血症が初期の症状としてあらわれ、適切な治療が施されないと骨の脱灰に伴って骨の変形が進行していきますが、臨床の現場ではこの両方の症状が同時に見られることが少なくありません。

検査と治療法

診断につながる検査としては、血液生化学検査でのカルシウム濃度やX線検査が選択肢として挙げられます。しかし、血中のカルシウムはすぐに代償反応が起こり、検査では正常値であることが多く診断に有用ではないとされています。また、X線検査においても骨の透過性亢進は20〜30%の脱灰が起こらないと写真には反映されないため、診断に用いる有用性は高くないとされているのです。現状では紫外線不足や温度管理不足、カルシウム不足など不適切な飼育環境、及び前述した主な症状から診断しています。

治療法としては、低カルシウムに伴う痙攣に対しては100mg/kgのグルコン酸カルシウムを6〜12時間ごとに投与します。痛みの緩和にはメロキシカム0.2mg/kgの投与を実施。状態に合わせて輸液療法と強制給餌を行い、徐々に自力での摂取に切り替えていきます。

まとめ

初期症状から治療を開始することができれば予後は良好であることが期待されますが、ある程度進行した状態にならないと症状が見られないことも多く、来院された時には予後不良になっているケースもあります。治療によって急性期を乗り越えられたとしても、いったん起こった骨の変形が元に戻ることはありません。その種にとって適切な栄養管理と飼育環境を整え、予防に努めることが何よりも重要です。

獣医師A

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