チンチラの糖尿病の原因と検査のやり方

チンチラの病気で多いものとして、不正咬合や鬱滞が挙げられます。こういった病気では、痛みなどのストレスから高血糖になってしまうことがあるので注意が必要です。また、並行して長期の食欲不振に陥ってしまうと、蓄積された脂肪をエネルギーとして燃焼し続け、ケトアシドーシスへと移行していくケースがあります。チンチラの糖尿病は、1型糖尿病のようにインスリンの欠乏によるものではなく、こういった背景から末梢でのインスリン抵抗性を示した結果発症する2型糖尿病に近いと考えられています。今回は、チンチラの糖尿病の症状と、診断に関わる尿試験紙での検査の仕方と結果について解説します。

糖尿病になったときの症状

たいていの場合、ケトアシドーシスに陥ってからの来院や検査による診断となることが多いためか、全身状態が悪く、食欲不振、多飲多尿、体重減少、脱水、沈鬱、両側性白内障などが見られます。

尿試験紙での検査の仕方と結果の解釈

チンチラは基本的にはトイレを覚えませんが、ケージの角で排尿する傾向にあるため、自然排尿による採尿を実施します。イヌやネコで使用される尿試験紙を用いて検査を行うことが可能です。糖尿病では尿糖が陽性、ケトアシドーシスを呈している場合はケトンが陽性になることもあります。それに加えて複数回の血糖値の測定を行い、持続的な高血糖(400mg/dL以上)を確認して糖尿病と診断します。

まとめ

チンチラの内分泌疾患自体、稀ではありますがその中でも比較的多く報告されているのが糖尿病です。糖尿病のリスク因子として、ヒトやイヌやネコなどと同じように肥満が挙げられています。肥満にならないためには、比較的低カロリーな牧草を中心とした食事と適度な運動が重要です。好んで食べるからといって、糖分を多く含むドライフルーツなどのおやつの与えすぎは肥満を助長する危険性があるだけではなく、腸内細菌叢を悪化させたり、鬱滞の原因になったりする可能性もあります。おやつは、コミュニケーションツールとして必要最小限与える程度に留めるのが良いでしょう。

チンチラの場合、イヌやネコのようなインスリンを用いた治療の成績は悪く、糖尿病になってからでは血糖値のコントロールが困難となり、予後は不良であると報告されています。チンチラに限らずではありますが、糖尿病にならないためにも適正体重を維持して予防に努めることが、何よりも有効な手段だといえるでしょう。

獣医師O

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