【鹿児島大学 桃井先生】ネコの糖尿病は砂漠化なのか山火事なのか

イヌの糖尿病は砂漠化

地球も暑くなって毎年、北米やオーストラリアなどでは大規模な森林火災のニュースを耳にします。
コアラさんなんかは動きがゆっくりなので、逃げ遅れてしまうこともあるみたいですね。ユーカリ燃えやすそうですし。

イヌの糖尿病とネコの糖尿病ってだいぶ違いますよね。イヌの糖尿病は膵臓の砂漠化だと思います。
何もない。β細胞がない。インスリンが出ない。
体の中の状況がそれほど変化しないのでインスリン投与に対してリーゾナブルに反応してくれます。

ネコの糖尿病は山火事

それに比べて、ネコの糖尿病はコントロールが難しいですよね。急に高血糖になるし、インスリンの必要量が変わるし、そうかといえば、なんか血糖値が普通になって、油断しているとインスリンで低血糖になるし・・・。

そんな経験をされている獣医師は多いのではないでしょうか。
この理由はネコの糖尿病が山火事だからだと思うのです。

つまり現在進行系でβ細胞が焼き尽くされている。

コントロール指標SAAと血糖管理

ここ10年くらいで膵炎の病態がだいぶ理解されてきたように思います。診断も精度が高くなったかな。

ここ何年か、ネコの炎症マーカーであるSAAを測る機会が多くありました。
糖尿病の症例は定期的に来院しているので、SAAについても繰り返し測定することができました。

SAAは炎症マーカーなので、非炎症性疾患ではあがりません。
特にイヌのCRPよりもON、OFFが明確な印象があります。

糖尿病は一般的には内分泌疾患で慢性の非炎症性疾患とみなされることが多いですが、ネコではちょっと違うのかもしれません。

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ネコの糖尿病とSAAの関係