【ヒト医療トピックス】歯周病がもたらすもの

近年、イヌ、ネコの歯科に注目が集まっているように感じています。
歯磨きガムや歯石の付きにくいフード、おやつ。専用の歯磨きグッズもかなり豊富になってきましたね!

さて、なぜ歯科のお話をしたのかというと、歯周病と糖尿病…ヒトの医療において密接な関係があることがわかっています。

 

第6の糖尿病合併症 歯周病

ヒト医療では、「歯周病は第6の糖尿病合併症である」と言われています。

糖尿病=内科と思いがちですが、このように提唱したのは、歯科医だそうです。

歯科は視診と触診で口腔を診るため、糖尿病患者の口腔内の異変に気づくことができたのだと思われます。

糖尿病患者は歯周病の発症リスクが高く、歯周病に罹患していると糖尿病の有病率や発症リスクが高いということはすでに明らかになってきています。

では、どうして糖尿病患者さんは歯周病になりやすいのでしょうか?

 

糖尿病と歯周病の関係

糖尿病とは「インスリン作用不足による慢性の高血糖状態を主徴とする代謝疾患群」
(糖尿病治療ガイド2016-2017 より)と定義されています。
従来、糖尿病患者さんにおける歯周病は、この血糖値の上昇に伴って、増殖に糖分を必要とする特異的な細菌の割合が増加することが原因であるといわれてきました。

しかし近年では持続的な高血糖状態に依存して、

  • 各種タンパクが糖化し、AGE(最終糖化産物)が産生
  • 好中球機能が低下
  • 繊維芽細胞の機能異常

などにより、

→炎症反応が増強
→免疫力の低下
→組織障害を修復する力の低下

が引き起こされることに起因するといわれています。

逆の場合はどうでしょうか?

歯周病に罹患していると、糖尿病の有病率や発症リスクが高いということは既に報告されています。

例えば、米国国民健康栄養調査(NHANES)では、歯周病を罹患している集団の糖尿病有病率は罹患していない集団の約2倍高いことが示されています。

これは、歯周病が「慢性炎症性疾患」であることに起因しています。

つまり、歯周病での慢性的な炎症反応の持続により、TNF-αなどの炎症性サイトカインが分泌され、筋肉や脂肪での糖分の取り込みを阻害することにより、インスリン抵抗性を惹起するということです。

インスリン抵抗性が増大する=インスリンが効きづらくなるということですので、糖尿病の第一歩になるというのが1つの説として考えられているということになります。

こういったことから、ここ数年、「医科歯科連携」という動きが加速しており、院内で血糖値を測定するなど、血液検査装置を取り入れる歯科医院が増加してきています。

現在、日本の糖尿病患者数は約316万人、歯肉炎・歯周疾患の患者数は331万人に及ぶそうです。(平成26年患者調査の概況(厚生労働省)より)

今後も医科歯科連携の動きは加速していくことでしょう。

 

まとめ

今回はヒト医療のお話を中心にさせていただきましたが、ペットの寿命が延び、ヒトと同じように生活習慣病に罹患する動物が増えてきています。

3歳以上のイヌ・ネコの8割近くが歯周病にかかっているとも言われています。

私も3歳になるネコを飼っております。
なかなか歯磨きには慣れてくれず一苦労しておりますが…。
できるものは予防し、少しでも健康な状態で、長く共に過ごしたいと願っています。

 

関連ページ

【日本獣医生命科学大学】糖尿病管理~歯周病を考える~