血糖値管理とソモギー効果とは

糖尿病の治療をしていると、インスリンの量を増やしてもなかなか血糖値が下がらず、むしろ高血糖が見られる場合があります。
併発疾患があり、インスリン抵抗性を示すことで血糖値がなかなか下がらないケースがありますが、それ以外にも「ソモギー効果」とよばれる生理的な反応によって血糖値が下がらないことがあります。

下がっていない結果をみて、ついインスリンの量を増やしてしまうことで、さらに血糖値が上がってしまうという悪循環が生じることがあるので注意が必要です。

ソモギー効果とは

ソモギー効果とは、インスリンの用量が多く、最初に低血糖が起き、その反動で生理的に高血糖が生じることです。ソモギーという研究者が発見したことからその名前がつけられました。

低血糖になることで、グルカゴンやエピネフリンが放出され、インスリン抵抗性を示します。また、低血糖を改善させるため、肝臓からさらにグルコースが放出されて血糖値は上昇していきます。

ソモギー効果の怖いところ

ソモギー効果はインスリンを投与して、通常24時間以内に見られます。そのため、インスリンを投与してから低血糖を見逃した状態で動物病院を受診し、その時点の血糖値を測定すると、高血糖に出てしまう可能性があります。
高血糖の結果をみてインスリン量が足りないと判断し、インスリンの量を増量させることでさらなるソモギー効果を起こし、高血糖になってしまうという悪循環に陥ることがあります。。

ソモギー効果への対処法

インスリン投与後、24時間以内にソモギー効果は表れるため、確定診断には数日入院させて血糖曲線を作るのが理想的です。
対処としては、インスリンの量がイヌで1.5U/kg、ネコで5U/kg以下の場合は一旦減量を試みます。減量後に、状態に悪化が認められた場合は、併発疾患がないかどうかなど、その他の原因によるインスリン抵抗性を検討します。
状態が改善された場合はソモギー効果の可能性を考慮し、インスリン量をさらに減量していきます。もともとの投与量から明らかにインスリン量が過剰の場合は、はじめのインスリン量まで戻し、調節をし直します。

まとめ

血糖曲線を定期的に作成するのが理想的ですが、たまたま血糖値が高くなっている検査結果のみで判断してしまうと、その前に低血糖が起こっていても、インスリンの量をさらに増量してしまいがちです。インスリンの量を増量しているのに血糖値がさらに上がってしまったり、コントロールできている日とできていない日が繰り返したりするようであればソモギー効果を疑う必要があることを念頭に置いておきましょう。

獣医師M

糖尿病治療の敵「ソモギー効果」を疑う症状とその診断方法

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