糖尿病治療の敵「ソモギー効果」を疑う症状とその診断方法

イヌやネコの糖尿病は完治しない病気ではあるものの、うまくコントロールできれば長生きできる疾患です。糖尿病の治療には、インスリン製剤の種類や量の選択、食餌療法の併用などいくつかのポイントがありますが、ソモギー効果を起こさせないことも大切です。
よりよい糖尿病コントロールのため、イヌやネコの糖尿病治療の敵であるソモギー効果のメカニズムや検査方法を理解しておきましょう。

 

ソモギー効果とは

ソモギー効果は、イヌやネコのインスリン治療中に比較的よくみられる現象です。インスリンの投与後に血糖値が低くなりすぎることで、イヌやネコの体内で血糖値を上げるためのホルモン(グルカゴン、カテコールアミン、コルチコステロイドなど)が分泌されて起こる血糖値のリバウンド現象が、ソモギー効果の正体です。
ソモギー効果は、低血糖による致命的な状態を回避するための体の防御反応です。アジソン病のイヌでは副腎皮質ステロイドが分泌されないため、糖尿病治療中にソモギー効果が起こらず頻繁に低血糖を起こしてしまうという症例もあります。

ソモギー効果は体を守るための健全な反応である一方、糖尿病の血糖コントロールをしばしば複雑にする原因の一つです。

また、低血糖を起こさなくても、急激に血糖値が落ちることでソモギー効果が誘発されることがあると言われているため、インスリンの作用時間が短すぎるとソモギー効果は起こりやすくなります。

 

ソモギー効果を疑うべき状態

ソモギー効果は、通常の検査では発見することができないため、その存在を疑うべきシチュエーションを知っておくことが大切です。以下のような場合には、ソモギー効果が起こっている可能性があります。

・インスリンを増量しても血糖値がコントロールできない
・測定するたびに血糖値の変動が激しい
・食欲や元気などの症状が改善しない

 

ソモギー効果の有無の検査方法とその対策

ソモギー効果を診断するためには、血糖曲線を描くのが一番です。半日~数日入院下で2時間おきくらいに血糖値を測定して、その数値をグラフにしてみてください。血糖値が急に反発して上がる時間がある場合には、ソモギー効果が起こっている可能性があります。血糖曲線は、インスリンの量や種類が合っているかどうかを見るだけではなく、ソモギー効果の有無の発見にも使える検査です。

また、ストレスが大きいなど血糖曲線の検査が困難な症例では、家で1日を通して尿糖を測定してもらうことも有効です。尿糖が「-」~「3+」まで激しく変動する場合や、尿糖が「-」の時間があるにもかかわらず糖化アルブミンやフルクトサミンが高値を示す場合には、ソモギー効果が発生している可能性があります。

ソモギー効果を疑った場合には、インスリンの減量や種類の変更を行わなければなりません。コントロールがうまくいかないからと言って、ソモギー効果が起きているにもかかわらずインスリンの量を増やすと、致命的な低血糖を起こす原因となりますので要注意です。

 

まとめ

イヌやネコは、ヒトと違い自分で低血糖を察知して糖を摂取することができません。その代わりに体を低血糖から守るのがソモギー効果です。そのため、糖尿病を厳密にコントロールしようとして血糖値が下がり過ぎるとソモギー効果が起き、血糖値のコントロール不良が起こる可能性があります。

ソモギー効果が起こるメカニズムを正しく理解し、しっかり診断できるようにすることで、良好な血糖コントロールや危険な低血糖を防ぐことができます。ソモギー効果が疑わしい場合には、血糖曲線を描くなどの検査をできるようにしておきましょう。

 

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