フェレットの脱毛は副腎疾患が原因かも。診断基準と治療法について

フェレットにおける外皮系の臨床症状で最も多く遭遇するのは脱毛です。脱毛は80%以上のフェレットで見られ、その原因として一番多いのが副腎疾患であると報告されています。副腎疾患もまた、フェレットの約70%が罹患すると言われており、4−6歳をピークに年齢とともに発症する可能性が高くなっていくので注意が必要です1)。今回は、フェレットを診察するにあたり遭遇する可能性の高い副腎疾患について、診断基準と治療法をお伝えしていきます。

副腎疾患の症状と診断基準

副腎疾患で一番多い症状は前述した通り、脱毛です。典型的なものとして、尾部だけの場合や、臀部、背側部に至るまで脱毛が進行するケースも少なくありません。次によく認められる症状としては、雌の外陰部の腫大が挙げられ、ある報告では46.8%で見られたとされています。その他、雄においては前立腺疾患が併発することがあり、それに伴う排尿障害が27.1%で見られたと報告されています1)

副腎疾患の診断としては、上記特徴的な臨床症状に加えて、エコー検査にて副腎の大きさや異常な形態の有無を確認するのがポイントです。正常な副腎の大きさは左が5.4-9.8mm×2.3-3.6mm、右が5.8-10.5mm×2.2-3.8mm2とされていますが、フェレットの体格によって変動するため正確な異常値は定められていません。しかし、7mm以上で副腎疾患の可能性は高くなります。また、性ホルモン測定は偽陰性結果が出やすく、診断基準として注意が必要です。

副腎疾患の治療法

副腎疾患の治療法は大きく分けて内科的治療と外科的治療があります。

内科的治療としては、30日作用型の酢酸リュープロレリンを定期的に注射します。注意すべき点は、臨床症状の緩和を主な治療の目的としていることから、異常副腎はそのままになってしまうため、疾患の進行を抑制するものではないことです。

外科的治療としては、全身麻酔下にて異常な副腎を摘出することになります。根治が期待できる方法ではありますが、高齢のフェレットや心疾患などの併発疾患がある場合は手術のリスクが高く内科的治療が推奨されることも少なくありません。また、副腎摘出後数日から1ヶ月で突然死するリスクがあること、片側副腎摘出したフェレットの30%で対側にも異常が生じることが報告されていることも飼い主さまに説明し、手術の是非を検討する必要があります。

まとめ

副腎疾患は、副腎の過形成や副腎腫瘍など、副腎で何らかの異常が見られたものを含めた表現です。イヌの副腎皮質腺癌の予後は悪く、転移も確認されていますが3)、フェレットの場合は転移もなく予後は比較的良好に推移していることが報告されています。こうした背景を踏まえた上で、治療のゴールがどこにあるのか、飼い主さまが心から納得してくださる治療計画を提案できる、正確な情報を持つ獣医師が求められていると言えるでしょう。

獣医師U

  1. Miwa,Y.,Nakata,M.et al.(2008):Adrenal disease of the Ferrets in Japan.J.Vet.Med.Sci.,70(12)
  2. Besso,J.G,Tidwell,A.S.(2000):Retrospective Review of the ultrasonographic features of adrenal lesion in 21 ferrets.Vet Radiol.Ultrasound,41:345-352
  3. Scavelli TD,Peterson ME.(1986):Results of surgical treatment for hyperadrenocorticism caused by adrenocortical neoplasia in the dogs:25 cases.J Am Vet Med Assoc,189

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