【岩永孝治先生】健康診断時の心臓バイオマーカーの有用性

心臓バイオマーカーとは、心負荷の上昇や心筋障害時に特異的に血中濃度が上昇するバイオマーカーです。ヒト医学においては、心臓バイオマーカーを用いた心疾患の診断、重症度評価、予後評価などの研究結果が数多く報告されています。イヌとネコにおいては、ANP、NT-proANP、NT-proBNP、cTnIの4項目が心臓バイオマーカーとして有用と考えられます。

全体像

各種心疾患において広く感度が高いのはNT-proBNPであり、健康診断時の心臓バイオマーカーとしてはNT-proBNPが一番おすすめできます。ANPとNT-proANPは心疾患があったとしても左房に負荷がかかっていない場合には上昇しないため、心不全の検出には有効ですが、無徴候の心疾患(肥大型心筋症など)の検出には不向きです。cTnIは心筋障害を特定できることに意義があります。つまり、心疾患を見つける目的としての健康診断においてはNT-proBNPとcTnI、心不全かどうかの判断にはANPもしくはNT-proANPの測定が診断の助けになります。

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