糖尿病になったウサギの飼い主さまに向けて「病気の説明」をするときに意識したいこと

ウサギは比較的飼いやすいといわれる動物です。

その愛らしい姿や、イヌやネコに比べて低価格であることなどから、病気のリスクを考えずに購入してしまう飼い主さまも少なくありません。そのため、糖尿病をはじめとする病気についても、コツやポイントを押さえた説明が必要となります。

ここでは特に、ウサギの「糖尿病」について、説明のコツや事前の確認ポイント、運動不足解消の提案内容などをご紹介します。

糖尿病のウサギの飼い主さまへの病気の説明のコツ

残念ながら飼い主さまの中には、ウサギが糖尿病になること自体を知らない人が少なくありません。

そのため知らず知らずのうちに、飼い主さまがウサギに糖尿病リスクの高い生活環境を強いてしまっていることもあります。

まずは糖尿病の原因や今後の生活の注意点、治療期間などについて丁寧に説明することが大切です。

ウサギの糖尿病の原因と今後の注意点について

ウサギにかかわらず、糖尿病の原因のひとつとして考えられるのは、おやつの食べ過ぎや運動不足などの生活環境です。

前者の場合、おやつだけでなく肥満自体が糖尿病の原因となります。

また後者については、散歩の習慣があるイヌや、家の中を自由に行き来することも多いネコと違い、ウサギは運動させなくても良いと思っている飼い主さまが多い傾向にあります。

しかし、ストレス解消や肥満対策のためにも、ウサギに適度な運動をさせることは必要なことだという認識を持ってもらう必要があるでしょう。糖尿病の原因が肥満にある場合はなおのこと、運動の大切さを知ってもらうことが重要となります。

ただし、原因を説明する前には、飼い主さまに事前に確認しておきたいポイントもあります。
その点については後述しますので、併せて確認していただけたらと思います。

治療期間について

糖尿病は一生付き合っていく必要のある病気です。特に体の小さいウサギの場合、命に関わる可能性も高くなるため、根気よく、適した治療を続けることが必要だということをあらかじめ伝えておいたほうが良いでしょう。

また、飼い主さまが精神的に追い詰められないよう、「一緒に頑張っていきましょう」と、飼い主さまの気持ちへ配慮した言葉を掛けてあげることも大切だと思います。

ウサギが糖尿病になった原因を説明する前に確認しておきたいポイント

前述の通り、ウサギの糖尿病の原因には食べ過ぎによる肥満や運動不足などが挙げられますが、ストレスで高血糖に陥ることもあります。また原因に応じたアドバイスや治療を行うという意味でも、原因を説明する前には以下について確認しておきましょう。

生活環境

ウサギはストレスを感じると高血糖になる傾向があります。

ケージ内が不衛生だったり、適した気温ではなかったりなど、慢性的なストレス状態に陥っていると、血糖値が高くなる可能性があります。

また十分な運動スペースがないことや、消臭スプレーの使いすぎなどもストレスの原因になることがあるようで、普段の生活環境について事前に確認しておくと良いでしょう。

普段の食事内容

普段からおやつやたんぱく質・炭水化物などを多く食べているウサギは肥満になりやすい傾向があります。

例えば果物や穀類などが食事のメインになっていると、たとえ量が少なくても糖尿病を発症する恐れが高くなってしまいます。

またウサギ用のフードや牧草などをほとんど与えていない、もしくはおやつばかり食べて繊維質のものを食べない場合も、肥満リスクが増大します。
こうしたウサギの飼い主さまには、食事指導をしっかり行う必要があるでしょう。

肥満は糖尿病だけでなく腎臓病や皮膚病などの原因になる可能性があります。
また繊維質不足は毛球症につながる可能性もあるため、ウサギの負担を減らすためにも、食生活を見直す必要があることを伝えましょう。

運動状態

普段から定期的にケージの外で運動する習慣がなかったり、ケージが狭すぎたりすると、ウサギは運動不足に陥ってしまいます。

食事の量や内容にそれほど問題がなくても、運動が十分でないと肥満の原因になってしまうため、こうした状況の場合は運動できる環境を用意することを飼い主さまに指導しましょう。

ウサギの飼い主さまにお伝えする運動不足解消の提案

ウサギの糖尿病治療に欠かせないのが運動不足の解消ですが、「運動不足=散歩」と
考えてしまう人も少なくありません。
しかしウサギは臆病な動物ですので、散歩に行きたがらなかったり、ストレスになってしまったりすることがあります。

そこでここからは、運動不足のウサギの飼い主さまにどのような提案を行えばよいかについてご紹介します。

無理をさせない範囲で運動

ウサギに求められる運動量は、実はそれほど多くはありません。目安は30分程度。ケージから出してあげて、自由に走らせてあげるのが良いでしょう。

ケージから出す前には、周りに危険なものや、かじられると困るものなどがないかも、合わせて確認するよう促すことが大切です。

ボールを使った簡単な遊び

自分ではそれほど動かないウサギの場合、ボールを使って運動させるのもおすすめです。イヌやネコほど積極的ではありませんが、ウサギもボールに興味を示す動物です。

ケージから出し、ボールで遊ばせることで、運動不足解消の一助となるでしょう。

遊ばせる際は、まずボールに慣れさせることが大切です。鼻でツンツンと押すようになったら興味を示し始めた証拠。
ボールを転がして追いかけさせるなどして、適度に運動させましょう。

まとめ

ウサギの糖尿病改善は、運動不足と肥満解消が大きなポイントとなります。

「ウサギは糖尿病になる」という知識がないまま飼っている人も多いため、治療方針だけでなく、普段の生活習慣を見直すことから提案することが大切だと思います。

獣医師G