春先に注意したい中毒・誤食

春になると、暖かく過ごしやすい気候になり、散歩や屋外での遊びの時間が増える傾向にあります。
また、園芸や家庭菜園が始まる季節でもあり、庭先や公園、散歩道などに危険な植物や肥料、農薬といったものが多くなります。
そのため、接触機会も増え、中毒や誤食事故が発生しやすい時期でもあります。
そこでこの記事では、春先に注意したい中毒・誤食の原因と予防のポイントについて紹介します。

特に注意したい「春の植物」

春の植物で特に注意したいのは、スイセン・チューリップ・スズランなどの球根植物です。
これらの植物には、アルカロイドや配糖体に属する毒性成分が含まれており、特に球根部分は毒性が高いとされています。
誤食した場合、嘔吐、下痢、流涎などの消化器症状が多く見られますが、摂取量によっては循環器症状や神経症状を呈することもあります。
庭やベランダでこれらの植物を栽培している家庭では、球根の植え替え時期に、イヌが掘り返して食べてしまうケースも少なくありません。
球根が植えてある場所には、イヌが近づかないように注意が必要です。
また、ユリ科植物はネコに対して強い腎毒性を示すことが知られています。
花粉や葉、花びら、ユリを活けている花瓶の水を摂取しただけでも、急性腎臓病を起こす可能性があるため注意が必要です。

肥料・農薬の中毒にも注意

春はガーデニングや家庭菜園、場所によっては田植えが始まる時期であり、肥料や農薬、除草剤の使用が増えます。
これらの製品には、摂取すると中毒症状を引き起こす成分が含まれていることがあります。
殺虫剤や除草剤には、パラコートやグリホサートなどが含まれている場合があり、消化管穿孔、振戦、痙攣、意識障害などの症状を呈することもあります。
イヌが草を食べる習慣を持つ場合には、散歩中に除草剤などが散布された直後の植物を摂取することで中毒が発生する可能性があります。
飼い主さまには、散歩コースの環境に注意するように指導することが重要です。

予防の基本は「3つの原則」

中毒や誤食を防ぐためには、日常生活の中で基本的な予防策を徹底することが重要です。
特に重要とされるのが、「置かない・近づけない・早期受診」の3つの原則です。

まず、「置かない」は、ペットが口にできる場所に危険物を置かないことです。
毒性のある植物や肥料、農薬などは、ペットが触れない場所に保管する必要があります。

次に「近づけない」は、危険な環境へのアクセスを制限することです。
庭やベランダでイヌやネコにとって有毒な植物を栽培している場合には、柵を設ける・散歩中に拾い食いをしないようにトレーニングを行うなどの対策が有効です。

そして「早期受診」は、誤食や中毒が疑われた場合に、速やかに動物病院を受診することです。
中毒は摂取量や経過時間によって症状が急速に進行することがあるため、早期対応が予後を大きく左右します。
今元気だからといって様子を見ないことが大切です。

まとめ

春は植物や園芸資材、農薬などに接触する機会が増えるため、イヌやネコの中毒・誤食事故が起こりやすい季節です。
特に球根植物、肥料や農薬は中毒を起こしやすく、重症化する危険性の高い中毒原因物質を含むことがあります。
中毒や誤食を防ぐためには、危険なものをペットの生活環境から遠ざけることがもっとも重要です。
万が一誤食や中毒が疑われる場合には、自己判断で様子を見るのではなく、できるだけ早く動物病院を受診するよう、事前に飼い主さまへお伝えしておくとよいでしょう。

獣医師B

【参考情報】
Poisonous Plants

日本中毒情報センター

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