動物病院で日常的に行う臨床検査では、一般的な血液検査の他に尿検査がよく行われます。尿の中には、腎臓、尿管、膀胱、尿道といった尿路系の情報以外にも、全身の臓器に関する情報も含まれています。尿検査の結果を正確に読み取る能力を持つことで、日常の診察で行われる確定診断に必要なデータベースが充実することでしょう。今回は、“尿蛋白の種類と診断的意義”に焦点を当て、ご紹介します。
尿の一般性状検査について
尿検査で試験紙法を行う前に、尿の性状をチェックしましょう。色調や混濁度、臭気、泡沫の有無などの五感を使った検査と、尿比重、尿pHは採尿したら直ぐに観察することをお勧めします。採尿後に尿を放置すると次第に濃縮し、尿比重やpH、尿沈渣の観察に影響が出て来ますので、直ぐに観察する必要があります。詳しくは、thinka Journal vol.2に記載しておりますので、よろしければ参照してください。
試験紙法について
尿蛋白試験紙法では、尿中化学成分の定性・半定量検査が出来ますが、ここでは尿蛋白の検出についてお話します。試験紙法で使用される試薬は、アルブミンと最も強く反応し、その他の蛋白での反応性は最大でも約20%程度とされています。したがって、実際には試験紙法では尿中アルブミンを主に検出していると解釈されます。尿蛋白試験紙法では、酸性条件下で蛋白がプラスに荷電した状態のところに色素が結合して発色するという原理で蛋白を検出しています。そのため尿のpHによっては、測定結果に影響をあたえます。強酸性尿では偽陰性を、強アルカリ尿では偽陽性を示しやすくなります。
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