【松波 登記臣先生】糖尿病ブログ記事の連載にあたり

獣医師の先生方、はじめまして。
私、愛知県名古屋市にあります松波動物病院メディカルセンターの獣医師
松波登記臣といいます。

今回からアークレイさまの本サイトにて糖尿病のブログ記事を書かせて頂くことに
なりました。

実際の臨床現場でご活躍されている先生方の診断および治療に可能な限り寄与できるよう、またわかりやすく糖尿病について書かせて頂ければ幸いです。
何卒、宜しくお願い申し上げます。

糖尿病という病気

私は大学院時代、糖尿病のテーマで4報、肝臓病のテーマで3報の学術論文を
書かせて頂きました。
そのほとんどが基礎から応用研究の内容になっていますが、今現在、臨床という現場で糖尿病を診させて頂いていると当時の研究内容の選択は間違っていなかった
のだなぁと思っています。

その理由に、糖尿病という病気は考えれば考えるほど不可解かつ複雑で、
我々治療をする獣医師たちを翻弄する病気の一つであると思うからです。

大学院時代に、糖尿病および肝臓病の基礎・応用研究をさせてもらっているときに、
それぞれ疾患がどのように進行していくのか、もしくはどのように治療薬に反応し改善していくのか、つまりは病態メカニズムを中心に学ばさせて頂きました。

糖尿病という病気が、どのように発症するか、発症するとどういう悪さを身体のなかでするのか、またインスリン治療を始めるとどう改善していくのか、、、

臨床現場で俯瞰的に感じることを、臨床現場に出る前に知れたことは
今の私にとって非常に役立っています。

そんな私が大学院時代で学んだことを駆使し、今現在の臨床現場で活かしている
内容のことを散りばめながら、糖尿病という病気のこと、糖尿病の診断のこと、
糖尿病の治療のこと、をここでは赤裸々にお話できればと思っています。

ちなみに、肝臓病、詳しく言いますと、非アルコール性脂肪性肝炎
(通称NASHといいます)を専門に研究していたのですが、動物の肝障害および肝臓病は、肝臓病学においてすべて“非アルコール性”と広義の意味で名称されています(お酒は呑みませんからね。。)。

そのNASHという病気が、我々の臨床現場でもしばしば認められるのですが、それが肝硬変(もしくは肝線維症)と言われています。糖尿病同様に、この肝臓病についても機会があれば触れていければと思っています。

糖脂質代謝性疾患のなかで、糖尿病と肝臓病は非常に密接に関わり合って
いることは明らかになっていますし、糖尿病を発症する基礎疾患としても肝臓病は
非常に有名ですしね。

3パターンの血糖値

最初となる本稿のテーマは、ベタに『血糖値』についてです。

血糖値は正式には、3パターンあるのはご存知でしたか?
まずは全血血糖値、そして血清血糖値、最後に血漿血糖値です。

なぜこの話をしたかといいますと、一般的に採用されている血糖値の基準値というのが血漿血糖値で定められていることはあまり知られていないからです。

主に医学、ここからはヒトのお話になりますが今ご紹介した各血糖値のなかで国際的に認められている、つまり医学系国際誌に記載が義務付けられているのが“血漿血糖値”のみなのです。

理由は単位にあると言われていますが、詳しいことは知りません。。

その単位というのが、mmol/l(みりもるぱーりっとる)と私たちがいつも使用しているmg/dl(みりぐらむぱーでしりっとる)がありますが、米国発の学術論文をみているとよく前者であるmmol/lが使用されていますね。

mmol/lからmg/dlへの変換はとある係数を掛ければ即算出されるので、どちらでも使用は大丈夫だと思いますが、私自身はこれまで執筆した論文すべてmmol/l表記しています。

理由は単純でジャーナルの決まりとか、レフェリーの指示とか、いろいろですが、なるだけ意向に沿う方法で執筆することが望まれていますからね。。

話を戻しますが、血糖値を測定するにあたり、個人的には血漿血糖値を推奨していますが、血漿ともなると、ある一定以上の血液量が必要になってきますので、ほとんどの施設では全血を用いて簡易血糖値測定器を使用されているのだと思われます(微量の血液で血漿血糖値を測れる機械もありますが)。

その際に知っておいてもらいたいことがあります。

血漿血糖値と全血血糖値とでは差が生じているということです。

その差というのは、おおよそ全血血糖値の方が2割低く出てしまうということです。

50とか100前後の血糖値の際にはあまり影響は示しませんが、300とか400オーバーになってきたときの血糖値の2割は非常に大きいということです。

高血糖状態には変わりありませんが、糖尿病の初期治療時にレギュラーインスリンを使用する場合は、結構影響したりしますので注意が必要です。

簡易血糖値測定器をルーチンに使用されているところではこの点に関してだけスタッフ全員で把握しておくと、安全だと思います。

おわりに

第一回目の内容は基礎的な内容になってしまいました。

また糖尿病という学問に関しては諸先輩方が説明してくださっていますので、今後は臨床医という立場で臨床で活用できるノウハウなどをお話していければと思っています。