糖尿病治療の3本柱は食事療法、運動療法、薬物治療です。ヒトの糖尿病は2型糖尿病が多く、肥満などのインスリン抵抗性を改善するために食事療法や運動療法が積極的に取り入れられています。
ヒトの「糖尿病治療ガイド」によると、運動療法としては“ウォーキングで1回15~30分、1日2回、週3日以上の頻度が望ましい“と明確に運動プログラムが示されており、特に食後の適度なウォーキングを実施することは、食後高血糖の予防のために重要とされています。
運動による効果
運動による血糖降下作用の機序として、インスリンは骨格筋に糖を取り込ませる作用を持ちますが、運動はインスリンとは異なる伝達経路を介して、筋肉の収縮に反応し骨格筋に糖を取り込ませる、インスリン非依存性の作用があります(図1)。この作用を利用して、個々の患者での血糖上昇の始まるタイミングに合わせて運動を行い、急激な血糖上昇を抑えるといった指導もしています。
図1:インスリン依存性・非依存性の糖取り込み作用機序(Kahn BB et al. Cell Metab. 2005)
日本獣医生命科学大学 小田民美、左向敏紀