尿検査というと定性検査や顕微鏡検査が主体になりますが、その前に尿の色から得られる情報もあります。赤ければ血尿、黄色ければ黄疸。もちろんその可能性は高いでしょうが、もう少し細かく整理することで、より早く診断にたどり着くことができるようになるかもしれません。
基本的な考え方
尿の色は、腎前性、腎性、腎後性という3つの影響を受けます。基本的に尿の色は黄色ですが、これは血漿中に含まれる黄色色素であるウロクロームの存在によるものです。そのため、尿が希釈されたり濃縮されたりすることによってウロクロームの濃度も変化するため、色調、つまり尿の黄色の程度が変化するのです。
尿の透明度は、尿がどれくらい濃縮されているのか、また光を散乱させるような沈殿物の有無によって変化します。この基本の黄色が極端に濃かったり薄かったり、黄色以外の色が混ざってくるような状態になると疾患を疑うことになるのです。
また、尿の色に異常があれば疾患の可能性を疑いますが、糖尿病のように尿に異常が出る疾患でも色は正常であることもあります。
尿の色や外観が変化する原因
尿が無色または無色に近いくらい薄い場合は、腎機能の異常が疑われます。この時は必ず尿比重をチェックしましょう。
高濃度のビリルビン尿になると、尿の色が暗黄色、橙黄色、橙色になります。追加で行うべき検査には、CBC、クームス試験、赤血球自己凝集試験、血清ビリルビン、AST、ALT、ALP、GGT、アンモニア、総胆汁酸、肝胆道系の画像診断などがあります。
泌尿器に異常や腎疾患があると赤色や赤褐色、褐色、黒色になることがあります。血尿の場合は尿検査にてpH、潜血、沈渣、加えて尿路画像診断を行う必要があります。血尿の原因は非常に多く、腎結石、尿管結石、膀胱結石、腎盂腎炎、膀胱炎、尿道炎、前立腺炎、尿路の腫瘍、外傷、凝固障害といったものが挙げられます。
ヘモグロビン尿は血色素尿と呼ばれ、赤血球が体のどこかで破壊されてしまい、そこから出てきたヘモグロビンが尿中に含まれることで尿が赤くなります。ヘモグロビン尿の場合は尿沈渣やCBCを調べますが、血尿と違って沈渣に赤血球は見つかりません。免疫介在性溶血性貧血、バベシア症、ヘモプラズマ症、フィラリア症、タマネギ中毒、薬物や毒物が原因となります。ミオグロビン尿は筋肉の色素が尿に出ている状態で、急性筋炎、過剰な運動、長時間の発作といったことが原因になります。ミオグロビン尿の場合はCKの測定を行います。
尿が混濁している場合は、それが細菌であれば感染性膀胱炎を起こしている可能性があります。それ以外にも、結晶が析出している可能性もあるので注意が必要です。
まとめ
意識して尿の色について考えると、意外と情報量が多いものです。ついつい軽く考えがちですが、毎回尿の色から疾患の絞り込みを行ってみてはいかがでしょうか。
獣医師I
尿検査に関する詳細な情報提供は会員ページで行っております。ぜひアクセスください!