【日本獣医生命科学大学 左向先生】イヌ・ネコの若齢性糖尿病について

ヒトの若齢性糖尿病とは

ヒトの1型糖尿病は若齢(4歳〜18歳)で発症し、糖尿病の10%ほどである。原因は自己免疫による選択的β細胞破壊であり、β細胞が90%以上破壊されると糖尿病の症状が現れる。

自己免疫とは、細胞性免疫(ヘルパーT細胞、細胞障害性T細胞、マクロファージなど)、と液性免疫(Bリンパ産生自己抗体)の両方が関わっていると言われる。発症に強く関わるとされる遺伝因子としては、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)遺伝子であるヒト白血球抗原(HLA)の遺伝子型があり、研究が進んでいる。コクサキーウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルスなどウイルス感染が引き金になる報告が多い。最近の報告では、コロナウイルス(COVID-19)と1型糖尿病の発症との関連も研究されている※1,2

イヌの若齢性糖尿病とは

イヌの糖尿病はヒトの1型糖尿病に類似しているとよく言われるが、これは発見された時点でβ細胞の破壊が早く、90%以上が破壊されていることによる。イヌの若齢性糖尿病、すなわち、ヒトの1型糖尿病と同じと考えられる糖尿病は、1歳齢までに多く見つかる。

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<文献情報>

【1】Acta Diabetol.2020.Jul 11:1-2. Type 1 diabetes onset triggered by COVID-19
【2】JAMA.2020.Aug 25;328:801-804. Ketoacidosis in Children and Adolescents With Newly Diagnosed Type 1 Diabetes During the COVID-19 Pandemic in Germany

【日本獣医生命科学大学 左向先生】糖尿病の分類

【日本獣医生命科学大学 左向先生】糖尿病とは??~イヌ編~