【日本獣医生命科学大学 左向先生】糖尿病のスクリーニング検査の考え方=糖化タンパク質の測定が重要

スクリーニング検査とは

スクリーニング検査とは、症状が現われていない段階で、病気や障害が起こっていないか、簡便な検査を行って調べることである。ヒトでは、糖尿病や生活習慣病を早期に発見する目的で定期的健康診断や特定健康診査(特定健診)を行っている。

特定健診では、腹囲、肥満度(ボディーマスインデックス=BMI)の計算のほか、血液検査としては、総コレステロールではなく、LDL-コレステロールおよびHDL-コレステロール、中性脂肪などを検査する。糖尿病関連としては、ブドウ糖値と糖化タンパク質である糖化ヘモグロビン(HbA1c)が共に測定されるが、HbA1c測定の方が、診断力が高いとされる。

ブドウ糖は、空腹時でも種々の糖新生系ホルモン(たとえばアドレナリンなど)の影響を受けるため変動する。糖化タンパク質は、ブドウ糖濃度と血液中に存在するタンパク質の共存時間、積分値に影響されるため、糖化タンパク質が高いときには、ブドウ糖値が長期間高いことを意味している。

特定健診は、糖尿病等の生活習慣病を早期発見し早期対策に結び付けることが目的であり、判断値は低く定められている。たとえば、HbA1cの参考基準範囲は、4.6〜6.2%とされており、糖尿病の診断は、6.5%以上となっている。糖尿病の前期には、5.7〜6.4%であり、受診勧奨(精密検査や生活指導を受けた方が良い)は6.5%以上、生活指導は、5.6%以上とされている。すなわち、参考基準範囲でも高値なら、精密検査へと進むということになる。ちなみにブドウ糖値(空腹時血糖値)も同様で参考値範囲は73-109mg/dLだが、糖尿病の診断は126mg /dL、糖尿病前期は100-125mg/dLで受診を勧めている。

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