イヌやネコが新型コロナウイルスに感染したらどう接すればよい?

依然として全世界で猛威振るっている新型コロナウイルスですが、オミクロン株が主流になってからは重症化する感染者が割合的に減少し、それに対して無症状や軽症の感染者の割合が増えている傾向にあります。しかし、感染していても表に出ないことも多いだけに、知らないうちに感染して家族にうつしてしまうリスクが高まっているといえるでしょう。大切な家族はヒトだけではなく、ペットであるイヌやネコも同様です。こういった背景から、今回は獣医師なら一度は質問されたことがあるであろう、イヌやネコに対する新型コロナウイルス感染症についてお伝えしていきます。

データからわかる-新型コロナウイルス感染症情報-(厚労省サイト)

変異株の国内事例数(厚労省サイト)

イヌやネコも新型コロナウイルスに感染するのか?

イヌやネコのコロナウイルスの種特異性をご存じの先生方からすれば意外なことかもしれませんが、これまでに新型コロナウイルスに感染したヒトからイヌやネコに感染した事例が数例報告されています(厚労省サイト)。感染した場合の症状としては、ほとんどが無症状であったとされていますが、ネコでは一部で呼吸器症状や消化器症状があったとの報告もあります。また、イヌでは報告されていませんが、ネコにおける新型コロナウイルス感染実験によって、ネコ同士の伝播が起こることが報告されているため注意しなければなりません。ただし、イヌやネコからヒトへの感染は報告されておらず、現段階では感染源になり得ないことも理解しておくといいでしょう。

イヌやネコが新型コロナウイルスに感染した場合の対処法

イヌやネコが新型コロナウイルスに感染した場合、そのほとんどが無症状ではありますが、上記にある通り一部で呼吸器症状や消化器症状があったとの報告もあります。しかし、ヒトのように重篤な転機を辿ることは報告されておらず、海外の報告では数日から2週間程度で、PCR検査で陰性に転じることが報告されています。感染が判明した場合でも、慌てることなくそのまま様子を見てあげましょう。なお、被毛など体表にウイルスが付着している可能性はあるので、普段から動物に接する前後で、手洗いや手指用アルコールでの消毒等を行うように飼い主さまに指導する必要があります。

まとめ

特に注意しておくべきなのは、イヌやネコからヒトへの感染は報告されておらず、現段階では感染源になり得ないことです。獣医師の立場からも、不安や勘違いからイヌやネコを捨てるような暴挙に出ないよう注意喚起していく必要があります。また、新型コロナウイルス感染に限りませんが、人獣共通感染症の観点では普段からヒトとペットとの距離感を大切にし、過度なコミュニケーションは控え、動物との接触の前後は適切な消毒を行うことはいうまでもありません。

動物由来感染症(厚労省サイト)

獣医師I

【東京大学 桃井先生】動物の新型コロナ感染症の現状について