myRNAシリーズ①:近ごろのイヌのがんの現状

近年、イヌの平均寿命は14歳前後まで延び、高齢化が進んでいます。
その高齢化に伴い深刻化しているのが「がん」です。

調査によると、死亡原因の第1位は腫瘍(がん)で全体の約18.4%を占めます。
さらに、イヌの死因の約50%ががんに起因しており、特にシニア期で発症率が急増します。

イヌのがん罹患率は人間の約8倍とも言われ、早期発見が難しいことから、治療開始時には進行しているケースが多いのが現状です。

イヌの死因とがん

アニコム損害保険株式会社の調査によると、イヌの死亡原因は以下のデータが示されています。
1位:がん(18.4%)
2位:循環器疾患(17.4%)
3位:泌尿器疾患

各年齢におけるがんの死亡率を見てみると、0歳~5歳では0.2%と割合としては少ないですが、5歳以上から急激に増加しています。

こういったデータからわかるように、イヌの健康寿命を考える上でがんへの対策は非常に重要です。

イヌに多いがんと生存率の目安

動物病院で遭遇する頻度が高いがんの種類とその特徴、予後の目安を表にまとめました。(表1)

未治療であれば数か月で死亡につながる可能性が高くなっており、進行の早さが見て取れます。
がんが進行すればするほど治療の選択肢が狭まってしまい、イヌにとっても飼い主さまにとっても獣医師にとっても辛い状況となってしまいます。

そこで、いかにがんを早期に発見できるかがポイントとなってきます。

表1:がんの種類とその特徴、予後の目安(※1)

早期発見のために大切なこと

イヌのがんへの対策は、「イヌの高齢化に伴う最大の健康課題」といっても過言ではありません。
死亡原因の約半数という高い割合を占める中、早期発見が難しいのが実情です。
些細な変化に気が付くことができるよう、定期的な健康診断や、日常の観察のポイントをお伝えし、「いつもと違うな」という変化を見逃さない環境作りを、獣医師と飼い主さまが協力して行うことが大切です。

近年、さまざまな研究がなされ、動物医療も飛躍的に発展してきています。
がんにおける検査も例外ではありません。
本シリーズの次回の話題は、がんの検査・現状についてお届けします。

監修:アークレイマーケティング株式会社 学術サポートチーム

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【参考】
※1
教科書
1. Small Animal Clinical Oncology (Withrow & Vail)
– 獣医腫瘍学の標準的な教科書。犬の腫瘍の種類、治療法、予後に関する詳細なデータを掲載。
– 出版社:Elsevier
2. Withrow and MacEwen’s Small Animal Clinical Oncology
– 腫瘍の生存率や治療後の予後に関する基礎データの典拠。
学会・ガイドライン
3. 日本獣医がん学会(JVCS)
– https://www.jvcs.jp/
– 犬・猫の腫瘍に関する治療ガイドラインや統計情報。
4. American College of Veterinary Internal Medicine (ACVIM)
– https://www.acvim.org/
– 腫瘍疾患に関する専門家向け情報。
5. Veterinary Cancer Society
– https://vetcancersociety.org/
– 犬のがんに関する最新研究や治療ガイドライン。
論文・レビュー
6. Osteosarcoma in Dogs: Prognostic Factors and Survival
– Journal of Veterinary Internal Medicine
– 骨肉腫の予後に関する代表的な論文。
7. Canine Lymphoma: Treatment and Prognosis
– Veterinary Clinics of North America: Small Animal Practice
– リンパ腫の治療成績と生存率に関するレビュー。
8. Mast Cell Tumors in Dogs: Clinical Behavior and Prognosis
– Journal of Veterinary Oncology
– 肥満細胞腫のグレード別予後に関する研究。