SDMAが単独で高い場合の対応指針|クレアチニン正常でも見逃さない腎疾患の兆候

SDMA(対称性ジメチルアルギニン)は近年、小動物医療で広く利用されるようになった腎マーカーです。従来のクレアチニンよりも腎血流量の変化に敏感に反応し、筋肉量の影響を受けにくいという特性から、早期腎疾患の発見に役立つ指標として注目されています。今回は、「SDMAのみが高値」のケースに、どのように対応すべきか見ていきましょう。

SDMAとは

SDMAは細胞核内タンパク質のメチル化産物であり、腎臓を介して排泄される物質です。腎糸球体濾過量(GFR)の低下を早期に反映するため、クレアチニンより25~40%早く上昇すると報告されています1)

また、筋肉量に左右されにくいことから、痩せた高齢動物やネコにおいても有用性が高いとされています。

――――――――――――――――――
<PR>
SDMAをはじめ、全9種類の測定が可能
免疫反応測定装置 Vcheck V200

――――――――――――――――――

 

SDMA単独高値の対応と診断のポイント

SDMAが上昇しているにもかかわらず、クレアチニンが正常であるケースは臨床現場でも珍しくありません。IRISなどの推奨では、以下のような対応が指示されています2)

・2〜4週間後の再評価が推奨される

一過性上昇(脱水、食事、薬剤など)を排除するため、再測定が必須です。SDMAは急性変動の影響を受けるケースがあるため、単回測定でCKDと断定するのは避けるべきです。

・尿検査との併用評価

腎機能の早期変化は、SDMAと尿検査を組み合わせることでより高精度に検出できます。併用すべき検査は以下です。

・尿比重(低下していないか)
・UPC比(蛋白尿)
・尿沈渣(炎症細胞・円柱)

――――――――――――――――――
<PR>
尿一般検査と同時にUPCも5段階評価
尿化学分析装置 thinka RT-4010

――――――――――――――――――

・腎エコーによる形態評価

腎臓のサイズ、皮質・髄質のエコー輝度、腎盂拡張の有無などを確認し、構造的異常の早期発見に役立てます。

・SDMA単独高値は「CKD予備軍」と捉える

正常なクレアチニンの背後で、GFRが低下している可能性があります。特にネコでは、SDMAの単独上昇の数ヶ月後にクレアチニン上昇へ移行する症例も報告されています。

まとめ

SDMA単独高値は、腎疾患の早期サインとして非常に重要な指標です。クレアチニンが正常でも油断せず、再評価と尿検査・腹部超音波検査などを組み合わせた総合的判断を行ってください。早期に異常を捉えることで治療介入のタイミングが広がり、長期的な腎機能維持につなげることができるでしょう。

獣医師C

 

【参考文献】

1.1. HallJA,YerramilliM,ObareE,etal. Serum Concentrations of Symmetric Dimethylarginine and Creatinine in Dogs with Naturally Occurring Chronic Kidney Disease. J Vet Intern Med. 2016 May;30(3):794-802

2.IRIS.「IRISGuidelines

【関連製品】

――――――――――――――――――

SDMAをはじめ、全9種類の測定が可能
免疫反応測定装置 Vcheck V200

――――――――――――――――――