【ヒト医療トピックス】進化を続ける小型血糖測定器

皆さまは、普段の診療で小型血糖測定器をお使いでしょうか。

 

いまやゴマ粒大ほど(数μL)の血液量で、数秒で結果が得られるような時代になっています。

今回は、血糖管理に活用されている小型血糖測定器について、ヒト医療における歴史を少し紐解いてみたいと思います。

 

血糖測定器がない時代はどうやって測定していたのか?

糖尿病と診断された方は定期的に病院で採血して血糖値を測定しなければなりませんが、採血には時間も手間もかかり、患者さまにとっては大きな負担・・・。

 

数十年前の簡易検査は目視で行なう試験紙(尿試験紙のような)が主流で、操作者の手技による誤差が大きく、照明等の影響も少なからずあるような状況でした。

 

また、患者さま自身が検査を行なう場合も、目視検査のため個人差が大きく正確な血糖値が測定できていませんでした。

 

小型の分析計が登場!

臨床検査も徐々に機械化が進む中、目視の試験紙を測定可能にした小型の機器が誕生します。

 

小型といってもビデオテープを2つ重ねたほどの大きさで、測定結果もアナログの針式メーターで表示するものでした。試薬の反応時間に数分、試薬の水洗い、水分を確実にふき取る必要があるなど、今から考えると簡便と呼べるものではありませんでした。

 

しかし、個人差のない正確な測定ができる、定量化できる、という点が画期的な進歩となりました。

 

精度の向上と簡便性の追求

図1.小型血糖測定器の世代分類

 

小型血糖測定器はよく、世代に分類して話をされます。

 

前項で述べた小型測定器は第一世代にあたります。その後操作性の簡略化が進んで水洗い等が不要な試験紙を用いた方法が主流となり、測定器もより小型でより高精度なものが開発されました。

比色法としては、小型血糖測定器のほか、汎用型自動分析装置やドライケミストリー等の小型装置でも普及しています。

 

一方、現在の小型血糖測定器で多く採用されている酵素電極法は、第三世代として進化を遂げてきたもので、操作の簡便さ、測定器の軽量化、検体量の微量化、測定精度の向上、測定時間の短縮等、一段と進化しています。

 

ヘマトクリット補正とは・・・

図2.ヘマトクリット補正

 

特に重要な測定精度の向上については、血液中の共存物質の影響を回避することや、ヘマトクリット補正機能の搭載などにより進化をしてきました。

 

小型血糖測定器では指先血など組織末端の全血を検体としており、全血内の血漿中グルコースだけを測定しています(血球中グルコースは測定せず)。

一方、生化学分析装置などの検査機器で血糖値を測定する場合は血漿を検体として血漿中のグルコース濃度を測定しています。

 

つまり分母の値が異なるため、小型血糖測定器の方が低い値となります。そこで全血検体のヘマトクリットを測定して、測定値を補正します。これをヘマトクリット補正といいます。

 

この機能により、より血漿血糖値に近い値を出すことが可能となっています。

動物用医療機器

以上のように、小型血糖測定器は医療者にとっても、患者さまにとっても使いやすいように改良が重ねられてきました。

 

次世代の測定器としては、採血不要の非侵襲型血糖測定器が期待されています。痛みなく、手間もかからず測定できるようになると、より多くの方の負担感を減らすことができ、積極的に糖尿病治療を進められるようになるかもしれません。

 

動物医療においても、小型血糖測定器としてはヒト用のものが長く使われてきましたが、本来はヒトと動物では検体特性が異なるためヘマトクリット補正も変更する必要があります。

 

近年では動物専用の小型血糖測定器も登場しはじめ、そういった点でも精度向上が図られています。

イヌ、ネコの糖尿病治療においても、飼い主さまの理解や協力なしに進めることはできません。

今後ますます動物用の検査機器が充実して、精度向上や医療者の負担が減り、飼い主さまも積極的に治療に参加できるような体制が整っていくことを期待しましょう!

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