こんな症状は糖尿病検査を!飼い主さまに気をつけてもらいたいイヌ・ネコの体調変化

ペットの高齢化や肥満率の増加により、糖尿病は非常に増えています。糖尿病には、そのリスクとなる要因がいくつかあり、ある程度そのリスクを減らすことも可能です。
また、飼い主さまがペットの様子をしっかり観察することで、早めにその症状に気付くこともできるのです。今回は、糖尿病で気を付けておきたい症状やその予防方法についてお話しいたします。

多飲多尿と体重減少に要注意

イヌとネコの糖尿病では、多飲多尿と体重減少という比較的分かりやすい症状が出ることが多いです。そのため、飼い主さまにお家で動物の様子を注意して観察していただくことで、その症状に気付いてもらえる可能性が高くなります。

多飲多尿

糖尿病の最も分かりやすい症状は多飲多尿です。血液中の糖分は、ある一定の濃度を超えなければ腎臓から尿中に排泄されることはありません。
この腎臓の閾値はイヌで180mg/dL、ネコで220~250 mg/dLと言われています。
糖尿病により血糖値がそれ以上高くなると、尿に糖が漏れてくるのです。

また、尿に糖が漏れ始めると、その糖につられて水分も多く排泄されるようになります。さらに、尿から排泄される水分が多くなると、体が脱水するため、喉が渇き水分をよく取るようになるのです。つまり、糖尿病では糖が尿に出てしまうことで、結果的に多飲多尿という症状が出てくるということです。

体重減少

糖尿病では、血糖値が高いにもかかわらず糖分をエネルギーとして使えないために、脂肪や筋肉が分解され、どんどん痩せてきます。
また、糖尿病が進行するにつれ、食べる量はいつも通りあるいはむしろ増えているのに、体重がどんどん減っていくという症状が出ることが多いのです。

中高齢の動物では、糖尿病以外にも体重減少を起こす病気は多いため、病気の早期発見のために体重をしっかり見ておいてもらうことが大切です。
もちろん、病院の受診のたびに体重をチェックしておくことも重要でしょう。

糖尿病にかかりやすいのは?

糖尿病の発症には、いくつかのリスク因子が存在します。糖尿病のリスクの高い動物は以下のように報告されています。

犬種・猫種

海外での報告では、以下のような犬種や猫種が糖尿病のリスクが高いと言われています。

イヌ:シュナウザー、ビションフリーゼ、
フォックステリア、シベリアンハスキー、
トイプードル

ネコ:バーミーズ

肥満

インスリンの効きにくさを「インスリン抵抗性」と呼びますが、肥満になるとインスリン抵抗性が高くなることがわかっています。肥満の動物がすべて糖尿病を発症するわけではありませんが、糖尿病の素因がある場合には、肥満によってインスリン抵抗性が上がることで糖尿病を発症してしまう可能性が非常に高まるのです。

性別および不妊手術の有無

糖尿病のリスクは、性別でも異なります。

イヌでは、雌の方が雄より糖尿病のリスクが高いと言われています。特に避妊をしていない雌イヌは、生理によるホルモン変動などの影響もあり、糖尿病の発症リスクが高くなります。

一方、ネコでは雄の方がメスより糖尿病の発症リスクが高いと報告されています。
去勢している雄ネコでは肥満になりやすいこともあり、最も糖尿病リスクが高いと言われています。
したがって、去勢している雄ネコは、肥満にならないよう最大限の注意を払う必要があるでしょう。

年齢

糖尿病になりやすい年齢というのもわかっています。イヌでは10~15歳、ネコでは12歳~15歳が最も糖尿病リスクが高い年齢になります。

クッシング症候群の併発・ステロイドホルモンの投薬

ステロイドホルモンには、インスリン抵抗性を高める働きがあります。そのため、クッシング症候群を発症している動物や長期にステロイドホルモンを投薬している動物では、糖尿病リスクが高くなるのです。
免疫疾患や口内炎などで長期的にステロイドホルモンを投薬している場合には、定期的に血液検査や尿検査を行い、糖尿病が発症していないかどうかをしっかりチェックしておきましょう。

糖尿病の予防と早期発見のために

糖尿病は、一度発症すると完治することが非常に難しいため、その予防が必要です。
また、糖尿病が進行すると、非常に危険なケトアシドーシスという状態になってしまいます。
つまり、糖尿病はその予防と早期発見が必要になるということです。

肥満にしない

肥満は、糖尿病の最も大きなリスクとなります。特に、ネコでは肥満が糖尿病リスクを3.9倍にも上げてしまうことがわかっています。肥満にさせないためにも、定期的に体重を測定し、体重が増えてきている場合や肥満であればダイエットを考えましょう。

動物の場合、運動によるダイエットは難しいため、基本的に食事管理(食餌管理)が大切になります。肥満の動物が来院した場合には、食餌の量や食餌の種類、おやつの与え方などを見直すよう指導しましょう。糖尿病の話をし、ダイエットフードやダイエットプログラムなどを提案してみてもいいでしょう。

家で尿量と飲水量のチェック

糖尿病の症状で、一番気づきやすいのは多飲多尿です。リスクの高い動物を飼っている場合には、お家で定期的に飲水量や尿量をチェックしてもらい、糖尿病の早期発見をできるようにしておきましょう。

10歳を超えたら定期的な健康診断

イヌもネコも、10歳を超えると糖尿病リスクが非常に高くなります。定期的な血液検査や尿検査で、糖尿病を含む病気の早期発見ができるようにしておきましょう。

まとめ

糖尿病は他の病気と比べ、予防や早期発見が比較的しやすい病気です。家庭で気をつけてもらうことをしっかりと伝えて、そのリスクや予兆にいち早く気づけるようにしておきましょう。
特に、リスクの高い動物には、血液検査や尿検査など定期的な健康チェックをおすすめしていけるといいですね。

獣医師O

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