ウサギの血尿は注意!実は危ない子宮疾患

「ネコは小さなイヌではない」という言葉は、獣医療に携わる人なら一度は耳にしたがあるのではないでしょうか。これは、ネコに対する検査や治療に関してイヌと同じような感覚で診療し、類症鑑別をあげて治療してしまっていることへの注意喚起です。病気の種類によってはイヌと同じ治療法で良いケースもありますが、そうではないケースが確かにありますので注意しなければなりません。これはネコに限らず、ウサギにおいても同様です。今回は、実際に間違いやすい「ウサギの血尿」について、診療の現場で起こっていることも交えながらお伝えします。

イヌの血尿といえばとりあえず抗生剤?

イヌの血尿と聞いて、おそらく最初に頭に浮かぶのは細菌性膀胱炎ではないでしょうか。最近はフードの改善によってかなり少なくなりましたが、膀胱結石の可能性もあるかもしれません。

しかし、ウサギの血尿でこのような病気が生じることは非常に稀です。冒頭でお伝えしたような背景からウサギの血尿についてもとりあえず抗生剤を処方される先生がいらっしゃいますが、改善する可能性は低いと言えるでしょう。

実は危険なウサギの血尿

実際にウサギの血尿で多いのは子宮疾患ですが、正確には血尿でなく出血です。特に、子宮内膜過形成または子宮腺癌という病気が潜んでいるケースが少なくありません。出血は子宮内にある程度蓄積してから排泄されるため、間欠的です。そのため、抗生剤の内服で一時的に改善したように見えてしまいますが、抗生剤で様子を見た結果、が10%台になって来院されることも少なくなく、経過を見ては非常に危険なのです。

治療法は、基本的には全身麻酔下による卵巣と卵管の摘出手術であり、早期発見・早期治療で予後は良好になります。ちなみに、ウサギの場合、オスの血尿に遭遇する機会は非常に稀です。

まとめ

日々の診療で忙しい中においては、動物種が異なってもその症状から導き出される病気に対して、今持っている知識と選択肢の中からできることをしてしまいがちです。現実的には、どの方法をとるべきかわからないからそうするしかないのかもしれません。

今回お伝えした病気は、そうした治療の危険性を表しています。実際に診療の現場では、ウサギの血尿に抗生剤を処方されているケースはまだまだあとを絶ちません。「ウサギは小さなイヌではない」ことを理解するためには、今回のように症状は同じに見えるけれど病名は違う、治療法は違うということを意識し、実際に診療の現場で遭遇した場合に自発的に真実を知ろうとする姿勢が必要なのかもしれません。

獣医師B

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