尿管閉塞へのSUBシステムの適応とその成績

ネコの死亡原因の1位と言われている腎臓病。
ネコの腎臓病にはいくつかの原因が考えられており、多くの場合に内科療法が用いられています。しかし、尿管閉塞による腎臓病は、積極的な治療によって予後が大きく改善する可能性のある病気です。

今回は、尿管閉塞の治療法の一つであるSUBシステムの概要や、その使用成績などをご紹介いたします。

尿管閉塞の原因

近年、尿管閉塞は、ネコの腎臓病の原因として報告が非常に増えてきています。
急性腎臓病の3割以上は尿管閉塞が原因であり、慢性腎臓病でも尿管閉塞が原因となっているケースが多いという報告もあります。

その尿管閉塞の原因の第一位が尿管結石であり、その中ではシュウ酸カルシウム結石が大部分を占めると言われています。高カルシウム血症のネコの多くにシュウ酸カルシウム結石が発生すると言われているため、高カルシウム血症を持つネコでは尿管結石に注意が必要です。
結石以外には、炎症による狭窄や腫瘍などが尿管閉塞を引き起こす原因となります。

尿管閉塞へのSUBシステムの適応

尿管閉塞の治療法には、点滴などによる内科的治療と外科的治療がありますが、積極的な外科的治療が尿管閉塞の予後を改善することも多く、尿管閉塞に対する外科手術は注目されています。
外科的治療には、結石の摘出や尿管ステントの挿入などが用いられてきましたが、最近ではSUBシステムの適応も増えてきました。

SUBシステムは「Subcutaneous Ureteral Bypass」の略で、腎臓から膀胱へのバイパスを作るためのインプラントになります。SUBシステムは従来の方法と比べ再閉塞のリスクが少なく、手術時間もステントに比べて短いというメリットがあります。そのため、尿管閉塞への適応やその効果が強く期待されているのです。

SUBシステムの成績と合併症

2018年11月に、100頭を超えるネコへのSUBシステムの治療成績に関する論文が発表されました。

その論文は、2009年~2015年にSUBシステムにより治療された尿管閉塞のネコ134頭のレビューであり、そのうち52頭は両側性の尿管閉塞でした。尿管閉塞の原因としては、尿管結石(65.5%)、尿管狭窄(16.1%)、結石と狭窄の併発(16.7%)となっています。

SUBシステムの設置による治療により、94%のネコが退院するまでに回復しました。治療前の血清クレアチニン濃度が平均6.6mg/dLであったのに対し、治療3か月後には平均2.6mg/dLまで減少していたそうです。

術後の合併症は、血餅による閉塞(8.1%)、デバイスからのリーク(3.5%)、チューブのよじれ(4.6%)などが多く報告されています。
また、長期の合併症として、カテーテルの石灰化が24%で発生し、その平均は463日。術後の血清カルシウム濃度が高いほどカテーテルの石灰化が起きやすいという結果となっています。

また、他の論文では、SUBシステムの合併症として尿路感染が多いという報告もあります。
SUBシステムの設置と同時に、尿管結石摘出術を行うなど尿路閉塞の解除を行うと、感染リスクが高くなるという報告もあります。

まとめ

ネコの腎臓病の原因が徐々に解明され、その治療法も原因によって選択肢が増えてきました。一般的に腎臓病の治療は内科治療になることが多いですが、尿管閉塞は外科治療によって予後の改善が見込める病気であり、その早期の診断が重要となります。

尿管閉塞の治療オプションの一つであるSUBシステムは、まだ臨床応用されて10年以内の新しい治療法であり、その成績や適応症例、長期の合併症など不明な点も多いですが、尿管閉塞の画期的な治療法となり得る可能性を秘めているようです。

獣医師K

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