心臓病には尿検査が必要?

腎臓病の検査といえば、血液検査・尿検査がまず思い浮かぶ獣医師が多いでしょう。
しかし、心臓病といえばどんな検査が思いつきますか?レントゲン検査やエコー検査などの画像検査、血液検査・心電図検査・血圧測定あたりでしょうか。尿検査まで実施している方はまだ少ないと思われます。
ここでは心臓病に対する検査項目に尿検査を入れる必要性について言及します。

 

心臓病の検査といえば

イヌで最も多くみられる心臓病は僧房弁閉鎖不全症です。多くの場合、聴診で雑音が聴取され検査に進むのが一般的です。
その際に、心臓の大きさを知るためにレントゲン検査、弁や心筋の状態など心臓の内部を知るためのエコー検査はよく行われています。
さらに、心臓病の場合、高血圧も気になりますので血圧測定、不整脈などを検出するために心電図検査などを行います。

 

なぜ尿検査が必要?

尿検査といえば泌尿器系、特に腎臓病でよく行う検査です。
腎臓は心臓から送られる血液の約1/4を受け取る臓器です。それだけ多くの血液を受け取る臓器のため、心臓に問題があると腎臓も大きく影響を受けます。心臓病の治療を行う際は腎臓の機能をきちんと考慮しながら治療を行わなければなりません。そこで尿検査です。
慢性腎臓病では血液検査上で高窒素血症がみられる前に尿比重の低下がみられる場合が多くなります。そのため、心臓病の検査の際に、たとえ血液検査上で腎臓パネルに問題がなかったとしても尿検査で尿比重の低下が認められた場合、初期の腎臓病を見逃さず評価することができます。

 

蛋白尿が出現している場合

尿検査で尿比重をみることで腎臓病を見逃さないことは大事ですが、尿検査で蛋白尿が出るケースがあります。尿路感染症などが原因で蛋白尿が出る場合もあるので、まずはそれらを否定し、尿中蛋白クレアチニン比(UPC)の上昇で糸球体性蛋白尿かを確認します。
糸球体性蛋白尿の場合、全身性の高血圧が認められるケースが多くなります。心臓病で高血圧による心負荷が増大していると考えられる場合は、心負荷を軽減しなければより心拡大が進行し症状が悪化してしまいます。そのため、糸球体性蛋白尿が認められた場合はすぐに血圧の確認をして高血圧がみられた場合は血圧のコントロールが必要となります。

 

まとめ

心臓病の検査を定期的に行っていても尿検査を毎回行う病院は少ないように思われます。定期的に尿検査をすることで、心臓病により影響を受けやすい腎臓の評価をいち早く確認でき、全身性の高血圧を発見できることもあります。難しい検査ではないので取り入れていくと良いでしょう。

獣医師K

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