イヌの糖尿病は人間の1型糖尿病に類似するのに対して、ネコの糖尿病は人間の2型糖尿病に類似するといわれています。糖尿病の治療にはインスリン療法・食事療法・経口血糖降下薬などがありますが、イヌよりもネコでは食事療法や経口血糖降下薬が効果的なことがあります。糖尿病の治療に関して、その目標や食事療法・インスリン療法などの治療法を見ていきましょう。
糖尿病の治療の目標
糖尿病治療は現在起こっている症状を減らすことや、併発疾患の予防を目標とします。血糖値を250mg/dl以下に保つことで代謝異常を最小限にできると考えられています。ネコの糖尿病は初期の治療を適切に行うことで寛解する可能性があり、初期治療がよりいっそう重要となってきます。寛解は治療開始からおよそ4ヵ月以内に認められるといわれていますが、明確な指標は今のところありません。
食事療法
インスリン療法と食事療法を併用することで血糖値のコントロールがしやすくなると言われています。また、食事は具体的には、高蛋白・低脂肪・低炭水化物が良いとされています。肥満はインスリン抵抗性を示すため、肥満のネコに関しては減量が必要となってきます。
インスリン療法
ネコで使用するインスリンの第一選択薬は長時間型のインスリン製剤であるPZIです。近年では国内で初めてネコ用のインスリンとしてプロジンクが認可されました。その他には持効型インスリン製剤であるインスリングラルギン、インスリンデテミルなどを使用します。基本的には長時間型であっても1日2回投与した方が良好なコントロールが期待できるでしょう。
インスリン療法で気を付けなければならないのが低血糖です。低血糖の症状としては、痙攣・振戦・食欲低下・嘔吐などがみられます。オーナーからこのような症状になったらすぐ連絡をもらうようにします。また、砂糖水などを口に入れて応急処置を行い、すぐに病院に連れてきてもらうように指導することも重要となってきます。
まとめ
ネコの糖尿病はイヌの糖尿病と病態が異なるため、治療の効果も変わってきます。症状が安定していて肥満でケトアシドーシスなどが認められない症例では体重のコントロールおよび経口血糖降下薬を使用するのも一つです。インスリンの効果を高めるために肥満のネコに関しては体重管理がとても重要です。
また、併発疾患を見逃さないことも大切です。適切な治療を行うことで将来的に寛解にもっていける可能性があるので、早期発見・初期治療を心がけましょう。
獣医師K
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