ネコの糖尿病と甲状腺機能亢進症

ネコの糖尿病は基本的に高齢で発症するケースが多いようです。そのため、慢性腎臓病や甲状腺機能亢進症など高齢で発症する疾患を併発することも少なくありません。
併発疾患がある場合、インスリン抵抗性を示しうまく血糖値をコントロールできないことがあるため、見逃さないように注意する必要があります。
特に、甲状腺機能亢進症の場合は治療を進めるにあたり注意が必要です。
 
 

糖尿病のコントロールがうまくいかない時には

インスリンで糖尿病の治療をしている際に、どうもうまくコントロールができないことがあります。
糖尿病は様々な併発疾患を罹患しやすく、それらの疾患がインスリン抵抗性を示し、血糖値をコントロールしづらくする場合があります。
膵炎や腎不全、甲状腺機能亢進症、腫瘍、消化器疾患、歯周病などを含む感染症などが相当し、糖尿病のコントロールがうまくいかない時は、それらの疾患の併発を疑う必要があります。
 
 

ネコの甲状腺機能亢進症

8歳以上のネコで認められることが多く、体重減少・多食・多飲多尿・活動の亢進・脱毛・食欲不振・頻脈など様々な症状を呈します。
血液検査で血清総サイロキシンを測定することで確定診断を行います。
甲状腺機能亢進症の治療は内科的療法を行い、腫大した甲状腺が触知できる場合は外科的処置をし、甲状腺が摘出できれば予後は良好です。
 
 

甲状腺機能亢進症と腎臓病の関係

甲状腺機能亢進症が認められる年齢では、慢性腎不全を併発していることもあります。
甲状腺機能亢進症は血液検査上で腎パネルをマスクしてしまい異常が認められず、ホルモン検査により甲状腺機能亢進症のみを診断してしまいがちです。
甲状腺機能亢進症の治療を行うと、腎血流量が減少してしまうことで慢性腎不全が悪化し、この時には血液検査上でも腎臓の数値が上昇します。
そのため、糖尿病のコントロールがうまくいかない場合に甲状腺機能亢進症を疑い、ホルモン検査を行って診断した際も、さらに腎臓病が隠れていないか検討する必要があります。
 
 

まとめ

イヌに比べてネコは糖尿病で併発疾患は少ないと言われています。
しかし、糖尿病の治療において、インスリン治療で血糖値をうまくコントロールできない場合は併発疾患を考慮しなければなりません。
高齢になると発症しやすい疾患を考慮すると、甲状腺機能亢進症や腎臓病を罹患していることがあります。
特に両方併発している場合には、甲状腺機能亢進症の治療を行うと腎不全が悪化することがわかっているので注意を払う必要があります。

獣医師 H

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