【東京大学 桃井先生】分子標的薬と免疫療法:獣医療でのがん治療はどこに進むのか・・・②

①はこちら

がん抗原ワクチンは?

がんに特異的な抗原を注射して免疫の力を付与してがん治療しようという考えは古くからありました。しかしながら獣医療で実用化されているがんワクチンはありません。

先日、新型コロナのワクチンを打ちました。モデルナ社のmRNAワクチンでした。モデルナアームになりました。新型コロナのせいでmRNAワクチンが早く普及しました。このワクチンは遺伝子を筋肉に打ち込んでウイルス蛋白を作らせ、免疫系に認識させています。この戦略はどんな蛋白でも利用できます。製造方法は標的とする蛋白に関係なくmRNA を合成するだけなので、短時間での開発が可能で、抗体医薬品よりも安価に製造できると思います。

原理的にはがん抗原を標的にしたmRNAワクチンをつくることができます。ウイルスと違ってがんは自己抗原ですので、免疫寛容を解除する工夫が必要ですが、新しいアジュバント開発も盛んですし、前述のチェックポイント阻害剤を併用するなどいろいろ工夫ができそうです。医療では、今後、mRNAワクチンをはじめ、がんワクチンの試験がたくさん行われると思います。

続きが気になる方は会員ページへ

【東京大学 桃井先生】分子標的薬と免疫療法:獣医療でのがん治療はどこに進むのか・・・①