「デグーは糖尿病になりやすい」は間違った情報

エキゾチックアニマルに関するまとまった情報、正確な情報はかなり限られており、一般の飼い主さまのほとんどはインターネットで検索する、あるいは同じ動物種をペットとして飼育されている方から情報を得ています。その中には間違った情報や、かなり古い情報をそのまま鵜呑みにしてしまっていることが少なくありません。今回は、その中でも最近人気のペットであるデグーに関して、糖尿病になりやすいという間違った情報が一人歩きしてしまった背景と正しい情報、デグーに多い病気を3つお伝えします。

デグーの糖尿病について

2013年の報告では、デグーを含むヤマアラシ亜目で、インスリンへの自然抵抗性があることが分子学的及び組織学的に確認されています。また、ある操作によって短期間に糖尿病へと移行することから、ヒトの糖尿病の病態生理学的研究において、糖尿病の誘発モデル動物としてデグーが用いられています。こういった背景から「デグーは糖尿病になりやすい」という情報が定着してしまった可能性があるでしょう。しかしながら、実際の臨床の現場では自然発生性の糖尿病のデグーに遭遇することはほとんどありません。

デグーで多い病気3選

デグーに多い病気としては、過剰グルーミング、不正咬合、尾抜けが挙げられます。

過剰グルーミング

過剰に自分の体の一部を舐める行為です。前肢で起こることが多く、その結果として、その部分の毛がなくなってしまいます。原因は精神的なもの、ストレスなどです。

不正咬合

歯の噛み合わせがずれてしまう病気です。臼歯で起こることが多く、噛み合わせがずれた結果、伸びた歯が頬や舌に刺さってしまいます。原因はペレットを中心とした間違った食餌が挙げられており、一度なってしまうと完治は困難となってしまいます。

尾抜け

尻尾の皮膚が抜けてしまうことです。尻尾を踏んだり、扉に挟まったりした時に起こる症状です。一度なると元に戻すことはできず、適切に対処しなければ尻尾が壊死してしまう場合もあります。

まとめ

デグーがペットとして日本でも一般的に飼育されるようになって20年以上が経過しました。適切な食事や飼育環境に関しても徐々にではありますが、正確な情報が共有されてきています。しかし、まだまだ飼育環境や食事が原因で病気になってしまうデグーが後を絶たないのも事実です。我々獣医師が声を大にして正しい情報を発信していく必要があるのかもしれません。

獣医師M

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