慢性腎臓病(CKD)のネコにおける、タンパク制限食とアミノ酸の重要性

ネコは、慢性腎臓病(CKD)のステージ1において、タンパク尿およびリン・カルシウム代謝異常がなければ、食事療法の実施は推奨されていません。
これは、CKDのネコにおいて体重を減少させないことと、筋肉量を低下させないことが重要であるものの、タンパク制限食である腎臓病用療法食の早期使用は、筋肉量の維持に問題があると議論されているからです。
そこで今回は、CKDのネコにおける、タンパク制限食とアミノ酸の重要性について解説します。

慢性腎臓病(CKD)のネコにおける体重維持の大切さ

CKDのネコでは、削痩することが生命予後の短縮に関連すると報告されており、削痩させないこと、特に筋肉量を低下させないことが課題のひとつになっています。

慢性腎臓病(CKD)のネコにおけるタンパク制限食の有用性について

CKDでは、体内に蓄積する尿毒素が筋肉量の低下を引き起こすといわれており、食事性タンパク質が代謝されると、尿素・アミノ酸・ペプチド・尿酸・クレアチニンなど、尿毒症の原因となる窒素含有化合物に分解されます。

つまり、CKDにおいてタンパク質制限を行うことは、尿毒症の原因となる窒素代謝産物の産生を抑制でき、生命予後の延長に有用です。

そのほか、CKDにおけるタンパク質制限には以下の目的があります。

・尿毒症症状の出現の遅延
・代謝性アシドーシスの改善
・インスリン抵抗性の改善
・リン制限によるCKD-MBD(CKDに伴う骨ミネラル代謝異常)の改善
・タンパク尿の減少
・尿酸降下薬・リン吸着剤・重曹・ビタミンD製剤・利尿薬の回避

CKDのネコの体重維持にはアミノ酸の補充が必要

CKDのネコでは、体重を減少させないこと、および筋肉量を低下させないことが重要であり、タンパク制限食である腎臓病用療法食の早期使用は、筋肉量の維持にとって問題があるのではないかと議論されています。

これは、CKDでは糖質や脂質の摂取が不足し、摂取エネルギーが不足すると、骨格筋など体のタンパク質の異化(分解)が亢進する可能性があるからです。

しかし、タンパク制限食でもアミノ酸スコア(食事中の必須アミノ酸の含有比率)を改善した食事であれば、タンパク合成はより効率的に行われ、筋肉量の維持が容易であることが確認されました。

これは、少ないタンパク摂取量だったしても、アミノ酸スコアが高い食事であれば、タンパク合成はより効率的に行われ、筋肉量の維持が容易であるからです。

まとめ

タンパク制限食でもアミノ酸スコアが高い食事であれば、筋肉量が維持されるため、CKDの初期段階から食事療法を行うことができる可能性があります。ネコの症状に応じて検討してみてください。

獣医師C

【参考文献】
Hall JA, Fritsch DA, Jewell DE, et al. Cats with IRIS stage 1 and 2 chronic kidney disease maintain body weight and lean muscle mass when fed food having increased caloric density, and enhanced concentrations of carnitine and essential amino acids. Vet Rec 2019;184:190.

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