【日本獣医生命科学大学 宮川先生】腎臓病に関する話題~連載2回目:腎機能検査~

前回に引き続き、日本獣医生命科学大学 獣医内科学研究室第二 宮川優一先生に動物の腎臓病に関する記事を執筆いただきました。
連載形式で、腎臓病に関する様々なお話をお届けしています。

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腎機能検査

腎臓は様々な役割を担っています。
最も重要な機能は老廃物の排泄です。
老廃物の排泄は、糸球体から血液を濾過することで行っています。
どれくらいの老廃物が糸球体から排泄されているかを示した指標が糸球体濾過量(GFR)です。
腎臓病では、GFRこそが最も重要な「腎機能の指標」です。

GFRの従来のマーカー、BUN、Creの問題点

最近、BUNやCreとは異なる新しいGFRマーカーが利用可能になっています。
これらの新しいマーカーをどのように活用すべきなのでしょうか。

そもそもBUNやCreといった従来の指標は、腎機能以外の影響を受けるという問題も抱えているために、その信頼性を低下させています。

特にBUNは脱水、摂食、食事中の蛋白含有量といった要因に影響を受けやすく、腎機能検査の指標としては不適格です。

Creは筋肉量に依存し、筋肉量は性別、品種、年齢、疾患状態で変化します(図1)。
特に体重差が大きい犬種間で同一の参考範囲でCreを評価することは難しいです。

図1.GFRマーカーの理想と現実

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