本当に糖尿病?尿糖が出たときに考えること

糖尿病は多飲多尿などの特徴的な症状に加えて、血液検査や尿検査によって比較的容易に診断することができます。しかし、尿検査で尿糖が出たからといってすぐに糖尿病と診断するのは危険です。尿糖が出た際に考えなければいけないことがいくつかあります。

尿糖の検査の原理

一口に糖といっても様々な種類があります。尿糖の検査はその中でも尿中に含まれるブドウ糖を検出しています。そのため、ラクトースやガラクトース、およびフルクトースは検出されません。尿試験紙では酵素反応を利用してブドウ糖を検出しています。尿にブドウ糖があると、グルコースオキシダーゼがグルコン酸と過酸化水素に分解し、ペルオキシダーゼが尿試験紙の色原体と過酸化水素との発色反応を触媒することで検出します。

尿糖が出現したときに考えること

正常の尿では尿糖は出てきません。尿糖が出現するのは、高血糖によりブドウ糖が腎閾値を超えてしまう場合が挙げられます。イヌでは尿糖の腎閾値は175-225mg/dL、ネコでは275-325mg/dLです。糖尿病はもちろんですが、たまたま過剰な糖分を摂取した際も尿糖として現れることがあります。その他では、尿細管の再吸収する能力が落ちた場合や、出血性膀胱炎、ネコの尿道閉塞などが挙げられます。

病的でない場合としては、まずネコのストレス性による高血糖もあります。採血や膀胱穿刺などでネコに過度にストレスがかかると血中グルコースおよび尿糖が出現することがあります。検査時のエラーとしては、尿検査の検体容器に砂糖が付着したり、洗浄などで使われる強酸化剤が付着したりしていると、偽陽性を示すことがあります。

一方で、冷蔵庫で冷やされた尿は酵素反応が起こらないため、尿糖があっても偽陰性を示すことがあります。そのため、検査時には室温に戻さなければなりません。

尿糖が出現したときに行うこと

以上のことから尿糖が出現したからといっても即糖尿病と断定はできません。そのため、尿糖を発見したら、血液検査で血糖値の確認、尿沈渣やエコー検査などで糖尿病以外の疾患を除外する必要があります。空腹時の血糖値が腎閾値よりも低い場合は糖尿病の可能性は低いと思われます。また、糖尿病は持続的な高血糖が特徴のため、糖尿病が疑われる場合は一度の尿検査だけでなく、定期的に尿検査を行いモニターしていきましょう。

まとめ

糖尿病といえば字の通り、尿中に糖が出ている状態です。しかし、実際は尿糖が出ていても糖尿病でないことがあります。糖尿病以外の疾患をきちんと除外するようにしましょう。また、その他疾患が併発しているケースもあるので、尿検査を定期的にモニターするとともに血液検査やエコーなどでその他の疾患を見逃さないようにしましょう。

獣医師S

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