ネコの疾患で「SAA(血清アミロイドA)」を測定する事例について

イヌによく用いられる炎症マーカーである「CRP(C反応性蛋白)」は、ネコの炎症時にはほとんど変動しないことがわかっており、使用することができません。また、白血球数は炎症以外の興奮や、ステロイド使用などの影響を受けてしまいます。一方、「SAA(血清アミロイドA)」は、興奮などで数値が上昇せず、ネコの体の状態を正確に把握することができる炎症マーカーです。この記事では「SAA」についてまとめました。

ネコの血液検査「SAA」とは?

「SAA」とは、炎症時に現れる急性相蛋白のことを指します。感染や組織障害に起因し、24〜48時間以内に血液中に急激に増加するタンパク質の総称です。それぞれの病院の機械や、外注先の検査機関により、数値の基準は若干異なりますが、ネコのSAAの正常値は< 8.0μg/mlとされています。

診察時に「SAA」を測定するべきケース

ネコの場合、炎症・腫瘍・組織外傷でSAAが増加するため、これらが疑われる症例においては「SAA」を測定することが推奨されています。

また、「SAA」が上がりやすい具体的な疾患としては、急性膵炎・悪性中皮腫・猫伝染性腹膜炎(FIP)・リンパ腫・甲状腺機能亢進症・多発性嚢胞腎・慢性腎不全・免疫介在性溶血性貧血・扁平上皮癌・糖尿病・胆管炎などが挙げられます。

治療時のモニターとしての「SAA」の有用性

「SAA」は、白血球などの数値とくらべて早く変動するため、数値の変動を見ることにより治療方針が正しいのか、改善傾向にあるのかを推測できます。

また、外科治療においても、手術後24~48時間でピークに達し、通常4~5日ほどで基準範囲内に低下するため、手術後のモニターとしても有用です。

もし、術後になかなか「SAA」の数値が基準範囲内にならない場合は、術後管理がうまくいっていない可能性があり、精査する必要があると判断できるでしょう。

まとめ

「SAA」は、ネコの体の状態を比較的正確に把握できる炎症マーカーです。「SAA」は、さまざまな疾患で上昇するため、これだけで具体的な診断をすることはできません。しかし、ネコの体に「なにか異常がないか?」と確認するには際には、とても有用な手段です。また、疾患の重症度や治療がうまくいっているかのモニターにも用いることができます。

高齢ネコの場合は、春の定期健診などで血液検査を実施する際、SAAを項目に追加することで、疾患の早期発見・早期治療に繋がる場合もあります。そのときのネコの状態に合わせて、取り入れてみてください。

<参考文献>
・Alex Gough Differential Diagnosis In Small Animal Medicine
Tamamoto T, Ohno K, Ohmi A, Goto-Koshino Y, Tsujimoto H : Verification of measurement of the feline serum amyloid A (SAA) concentration by human SAA turbidimetric immunoassay and its clinical application, J Vet Med Sci. 70 (11), 1247-1252 (2008)

獣医師S

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