鳥の病気は、普段イヌやネコを診察している先生方にとって、身近ではない場合も多いです。
また、その中でも「痛風」は、あまりイヌやネコではなじみがない病気かもしれません。
飼い鳥として人気の高いオカメインコは、痛風になることも多い種類です。
本記事ではオカメインコの痛風について、最新の知見と飼い主へのアドバイス方法を交えて紹介します。
オカメインコの痛風とは
痛風は、尿酸の過剰蓄積による病気です。鳥類は、タンパク質の最終代謝産物として尿酸を合成するため、痛風になりやすいといわれています。また、このタンパク質代謝のメカニズムから、鳥類における痛風の原因は、腎臓機能の低下や高タンパク質の食事にあることが多いです。飼い鳥の中では、オカメインコやセキセイインコに多く見られる病気です。
診断方法
オカメインコの痛風では、関節に痛風結節ができやすいため、脚を痛がる様子や、肉眼での痛風結節の確認で診断することが可能です。
また、血液検査で尿酸値や腎臓の値を見ることでも診断することができます。オカメインコの場合、痛風になっている背景に腎臓機能の低下があることが多いため、血液検査での腎機能の評価が重要です。
治療法
オカメインコの痛風治療は、食事療法と薬物療法を中心に行います。食事はタンパク質を制限するため、腎疾患用のペレットに切り替える必要があります。薬物療法では、痛みのコントロールを行うため鎮痛剤を使用し、尿酸生成抑制剤などの投与で尿酸値を抑えていきます。鎮痛剤はNSAIDsでの腎障害の可能性が指摘されるため、COX2阻害薬を使用するのが一般的です。
予防法
オカメインコの痛風は、高タンパク質な食事やビタミンDの過剰摂取、肥満による腎障害などが原因として報告されています。人間の食べ物を与えていないか、ビタミン剤を適切に使用しているかなどを飼い主さまに確認し、普段からの食事指導が予防として重要です。
まとめ
オカメインコの健康管理においては、痛風のリスクを軽減する意味でも、正しい食事管理が欠かせません。
オカメインコの痛風は治療が難しいうえ、背景に腎疾患があることが多いため、死亡率も高い病気です。
飼い主さまへの飼育指導に加え、適切な診断治療ができるよう進めてください。
【参考文献】
・ハリソン、GJ、ライトフット、TL (2006)。臨床鳥類医学。Spix Publishing Inc.
・Ritchie, BW, Harrison, GJ, & Harrison, LR (1994).鳥類医学:原理と応用. Wingers Publishing.
・高木健一。 「鳥類の痛風に関する研究」。 日本獣医師会雑誌、2020.
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