今回は糖尿ネコにおいてステロイド治療(プレドニゾロンの投与)が必要になった場合のインスリン抵抗性の変化についてのお話です。
実際の臨床現場では、糖尿病ネコがリンパ腫や自己免疫疾患(腸炎や免疫介在性溶結性貧血)に罹患し、糖尿病で禁忌とされているステロイド剤の投与をすることがあります。
しかしながら、実際に糖尿病ネコにステロイド剤を投与した後、インスリン抵抗性や皮下からのインスリンの投与量がどのように変化するかはあまり知られていません。今回のブログでは実際に糖尿病ネコにステロイド剤を投与し、その後の血糖コントロールを評価した症例を紹介します。
初期症状と治療内容
血糖コントロールが安定しないということで9歳の去勢雄のネコが本学に来院しました。
症状は食欲廃絶、黄疸、重度の脱水、嘔吐、および衰弱が認められました。
初診時の血液検査の結果を表1に示します。
日本獣医生命科学大学 森昭博、左向敏紀