【松波 登記臣先生】症例報告:血糖コントロールに苦慮した大型犬の糖尿病の場合~1回目~

久しぶりの投稿になります。

前回は“血糖値”について基礎的なお話をしましたが、今後は“症例報告”を紹介させていただければと思います。症例報告では、臨床現場で活かせる内容になるようわかりやすくご紹介していければと思います。

今回は、糖尿病のコントロールに苦慮したラブラドールレトリバーの女の子をご紹介します。

当院に来る前までのシグナルメント

7歳5ヶ月の未避妊のラブラドールレトリバーのAちゃん(当時)。
糖尿病発症時の体重は35キロでした(BCS5)。小さい頃から肥満気味かつ運動不足だったそうです。多飲多尿と下痢を主訴に近医を受診したところ糖尿病と診断されました。インスリン治療を始めたのですが血糖コントロールが上手くいかず、体重も30キロまで減少したそうです。

その後2件目の動物病院を受診し、インスリンの種類を変更して再チャレンジをしたそうですが、こちらも血糖コントロールが芳しくなかったため避妊手術を実施しました(ホルモンの影響もあるかもしれないということで)。
その際、子宮水腫だったそうなので数日間の入院をしたそうですが、その時は朝晩1回ずつインスリンを投与していただけで血糖値の測定を行っていなかったそうです。
退院後、一時的に血糖コントロールが出来ていた時期もあったそうですが、血糖値を測ればその都度高血糖状態だったらしく、当院に転院されてきました。

気になるポイント

上記の内容のなかで私が指摘するポイントがいくつかあります。

上記では割愛しましたが、糖尿病と診断した根拠が臨床症状と血糖値の測定のみだったそうです。つまり尿検査を、尿糖を確認していなかったそうです。と同時にケトン体の有無も同様に確認されていませんでした。

そしてもう一つは、2件目に転院した際にインスリンをNPH製剤(ノボリン/ヒューマリン)からグラルギン製剤(ランタス)に変更したことです。

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症例報告2回目

症例報告3回目

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