糖尿病のなかでも、ケトアシドーシスを併発した症例は極めて状態が悪くなります。進行すればするほど重度の脱水状態となり、二次的に併発疾患が生じてしまいます。通常の糖尿病の治療では命に関わる場合もありますので適切な治療を早急に行う必要があります。
ケトアシドーシスについて考えていきましょう。
ケトアシドーシスの病態
糖尿病性ケトアシドーシスは急性の代謝失調で、インスリン抵抗性などが生じます。糖の利用が低下し、エネルギーを作るために脂肪が分解されることでケトン体ができます。ケトン体が蓄積することでケトアシドーシスが発生します。
ケトン体は尿中に現れ、糖尿病による浸透圧利尿に加えて、体内から大量の水分が失われ、重度な脱水となります。そして脱水が進むことで、腎前性腎不全を引き起こし嘔吐や飲水量の低下につながることでさらにケトン体濃度が上昇し、病態は進行します。
ケトアシドーシスの診断
多飲多尿・多食にもかかわらず体重減少が認められたり、嘔吐などがみられたりした場合はケトアシドーシスを疑います。
また、すでに糖尿病に罹患している症例は感染症を併発するケースが多く、ケトアシドーシスになりやすいです。尿路感染や子宮蓄膿症などには特に注意する必要があります。症状として、食欲廃絶や脱水、ケトン尿、動脈血重炭酸濃度の低下が認められた場合はケトアシドーシスを疑う必要があります。
さらにケトアシドーシスでは脱水が進み、腎前性腎不全や膵炎、うっ血性心不全などを併発することがあるため、注意が必要です。尿検査ではケトン体と尿比重を確認し、高窒素血症が認められた場合に腎性か腎前性かを鑑別することができます。
ケトアシドーシスの治療
ケトアシドーシスは緊急に対処しなければなりません。
併発疾患がないかを確認した上で、低血糖に気を付けながらインスリンにより血糖値を下げていきます。最初はレギュラーインスリンから導入し、血糖値のモニターを行いながらインスリンを追注していきます。
また、重度の脱水の対処のため輸液療法を行います。血糖値、脱水の補正が完了したら長時間作用型のインスリンに切り替えて治療をしていきます。
まとめ
ケトアシドーシスは命を落とす病態です。ケトアシドーシスの状態で来院することもありますが、すでに糖尿病に罹患している症例がケトアシドーシスを併発するケースがあります。いずれの場合もその他の併発疾患がないかを確認した上で、ケトアシドーシスの状態を脱するため血糖を下げること、脱水の補正をいかに早く対処できるかが重要です。
獣医師K
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