低血糖になったときに考えること

低血糖になる原因はさまざまです。年齢や糖尿病の有無、腫瘍などありますが、低血糖状態に陥った時は早急に対処しなければ死に至る可能性があります。特に腫瘍が疑われる場合は血糖値を上げる場合に注意しなければならないため見極めが大切になってきます。

低血糖になる原因

低血糖はネコでは比較的稀で、イヌでは年齢や犬種により異なります。機能性低血糖といって新生仔・若齢犬(特にトイ種)や狩猟犬などの病変の認められないタイプの低血糖の他に、β細胞癌(インスリノーマ)や腫瘍、エンドトキシンショック、外因的薬物が挙げられます。外因的薬物のなかで最も多いのがインスリンです。糖尿病の治療でインスリンが過多になることで低血糖になることが多くなっています。

低血糖の臨床症状

ほとんどの神経系はインスリンに関係なく血糖によりニューロンに糖が取り込まれます。そのため、低血糖になるとニューロンに糖が取り込まれなくなり、代謝が下がり低酸素によってニューロンが壊死します。そうして低血糖は大脳皮質と運動中枢に特に影響を及ぼします。具体的には心拍数の増加、瞳孔散大の他、神経症状として脱力、麻痺、運動失調、振戦、発作、嗜眠などが認められます。

低血糖になってしまったら

子犬や子猫、糖尿病に罹患している場合で、まだ動物病院に到着していなければ口腔粘膜に蜂蜜やブドウ糖のシロップを刷り込み、すぐ動物病院に来院するよう指示しましょう。低血糖は命に関わる緊急事態のため、先に挙げたような症状が認められる際は様子を見るのは危険です。

病院内ではすぐに血糖値の確認を行い静脈からブドウ糖を投与します。血糖値の最低ラインを90mg/dL程度に維持し、嘔吐がなければ食事を開始します。子犬・子猫・糖尿病以外の病気が疑われる場合はこの時点から、原因を探していきます。

ただし、β細胞腫瘍の場合のグルコース投与はかなり慎重に行う必要があります。それは反跳性の低血糖症により状態が悪化する可能性があるからです。そのためβ細胞腫瘍が疑われる場合は、グルコース投与を緩徐に行い、超音波検査や針吸引生検で診断します。超音波検査で転移が無ければ外科的治療、外科的治療が困難な場合は内科療法で血糖値をコントロールしながらステロイドでインスリンに拮抗させます。

まとめ

低血糖はとても危険な状態です。機能性低血糖が疑われる場合や糖尿病治療中など、低血糖になる原因がある程度予測がつく場合は早めにグルコースを投与して安定化させます。糖尿病の場合はインスリンの量が多いことが予測されるため、血糖値曲線を作り直す必要があります。

原因がはっきりしない際は、腫瘍を疑います。特にβ細胞腫瘍の場合は緩徐に血糖値を上げなければ危険であり、症状が落ち着き次第、画像検査などで精査し適切な治療を行わなければなりません。

獣医師N

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