【レクチャーシリーズ:飼い主への説明ポイント】寒さに弱いコザクラインコの冬場の温度管理の重要性

パートナーに対しての愛情溢れる振る舞いから「ラブバード」とも呼ばれるコザクラインコ。体重は50g前後と小柄で動作に愛嬌があるため、セキセイインコやオカメインコに匹敵する人気があるインコでもあります。本来の生息域はアフリカ南西部の半乾燥地帯であり、日本のように冬が存在しない地域で暮らしています。そのため、冬を安全に過ごすにあたっては、適切な温度管理を行ってあげることが大切です。今回は、コザクラインコの冬場の温度管理について、重要性と具体的な方法を解説します。

温度管理の重要性

コザクラインコの体温は約42度で、私たち哺乳類より高い体温を維持しています。体内での熱産生量はおおむね体重に比例し、放熱量はおおむね体表面積に比例します。基本的には外気温の方が低いため、こういった放熱に対して体重の約10%というかなり多くの餌を食べて正常な体温を維持しているのです。正常体温が維持できないと、活動量の低下や免疫力の低下から感染症などのトラブルを招くリスクが高くなってしまいます。そのため、50g前後の小さな体で42度を維持するためには、なるべく体温が奪われないように温度管理をしてあげることが重要になってくるのです。

具体的な方法

冬場で快適に過ごせる室温としては、おおむね25-28度ぐらいの設定が望ましいです。大きな寒暖差は体調不良につながることがあるので、1日の中での温度差は5度前後ぐらいにするのが理想的となります。使用する保温器具として一番安全なのは、エアコンです。改めて購入したり設置したりする必要がない上、ボタン一つで適切な温度設定ができます。加えて、鳥は体の表面が羽毛による空気の層をつくり、それが断熱材としての役割を担っているため、暖かい空気を呼吸によって取り込んで体の内側から温めることができるエアコンが理に適っていると言えるでしょう。それに対して、よく使用されることがあるペットヒーターや保温電球のように近くまで行かないと熱を吸収できない保温器具は、あまり効率が良くないと考えられます。

まとめ

適切な温度管理をしてあげることは、無駄なエネルギー消費を減らし様々な病気を予防する基本です。特に幼鳥や老鳥の場合は気を付けてほしい点です。はじめてコザクラインコを飼育される飼い主さんにはその点を十分ご理解いただけるようお話するのが良いでしょう。

獣医師U

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