飼い方に注意!インコがパニックを起こさないように普段から気をつけること【レクチャーシリーズ:飼い主への説明ポイント】

「帰宅したら鳥籠の中が血だらけになっているんですが、何が起こったんでしょうか?」

鳥類の診療をしているとそういったご相談が時々あります。起こる時はその日に集中して発生することも少なくありません。こういったケースで一番多いのは、実は「パニック」です。突発的に不安や恐怖を察し、とりあえずその場から逃げようとした結果、周囲の構造物に翼をぶつけて怪我をしてしまうのです。今回は、インコやオウムに見られるパニックに関する、原因および予防と対策についてお伝えしていきます。

パニックの原因

パニックを起こす原因として多いのは、雷や台風、打ち上げ花火など突然発生する大きな音です。他にも、ネコや力加減の分からない赤ちゃんなど、自分が襲われる危険性のある動物が近づいてきたときにもパニックに陥りやすいようです。また、夜間や遮光カーテンで鳥籠を覆った後など、暗闇で起こることも多く、周りの状況がわからないことも原因の一つとなります。パニックのスイッチになりやすいのは、「突然発生した危険性のあるもの」が共通しているといえそうです。パニックはどの鳥でも見られますが、その中でもオカメインコに多く、さらにルチノウという品種はパニックに遭遇する機会が多いことから、遺伝的な背景が示唆されています。

パニックの予防と対策

パニック自体は、もともと鳥に備わった危機回避行動の一つです。したがって、その行動自体をゼロにするのはなかなか難しいといえるでしょう。しかし、パニックのスイッチが入りやすい条件がわかっているので、それらを極力減らすことは可能と考えています。具体的には、暗闇でパニックを起こしやすい場合においては常に周りの状況がわかるように明るくしておくことが挙げられます。また、パニックになったとしても、周囲に翼がぶつかって怪我をしないように全面アクリルケージにするなど、普段の飼育環境を整えることでダメージを減らす対策も有効です。

まとめ

冒頭にご紹介したご相談のようなケースでは、愛鳥に起こってしまった原因不明の突然の悲劇に対して、飼い主さまが一緒になってパニックに陥っていることも少なくありません。飼い主さまの精神状態は、愛鳥のその後の体調にも影響することがあります。適切な治療はもちろんのことではありますが、その前に、専門家としてのアドバイスを含む正しい情報を提供し、飼い主さまに安心していただけるような信頼も、獣医師に求められているのではないでしょうか。

獣医師O

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