2026年にAAHA(American Animal Hospital Association)から「ネコの糖尿病管理ガイドライン」が発表されました。
今回の改定では、ネコ特有の病態や管理方法がより明確化されました。
糖尿病の診断には持続性高血糖を確認することの重要性が強調され、治療においてはSGLT2阻害薬が新たな治療選択肢として示されています。
本稿では、改定されたネコの糖尿病管理ガイドラインについて説明します。
「持続性高血糖」を診断基準に組み込む
ネコはストレスを感じると一過性に血糖値が上昇する傾向があります。
院内での血糖測定はストレスの影響を受けやすいため、院内で測定した1回の高血糖だけでは糖尿病と診断できません。
今回のガイドラインでは、臨床症状に加えて「持続性高血糖」を確認することが重視されています。
具体的には、「フルクトサミン」または「HbA1c」の上昇、あるいはストレスの少ない環境や自宅で複数回にわたり高血糖または尿糖が確認されることが糖尿病診断の根拠になります。
ただし、フルクトサミンは糖尿病だけでなく、甲状腺機能亢進症などの影響により低値を示すことがあるため、持続性高血糖を示す検査結果と臨床症状を組み合わせて判断することが重要です。
また、ネコの場合は、従来行われてきた入院下での血糖値曲線測定は、ストレスによる血糖値への影響が大きいため注意が必要です。
持続血糖測定器(CGM)、動物用の血糖測定器などを活用した在宅モニタリングが推奨されます。
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SGLT2阻害薬という新たな選択肢
治療面での大きな変化はSGLT2阻害薬がネコの糖尿病における新たな治療選択肢となったことです。
SGLT2阻害薬は腎臓でのグルコース再吸収を抑制し、尿中への糖排泄を増加させることで血糖値を低下させます。
インスリン注射とは異なり経口投与が可能なため飼い主さまの投薬負担を軽減できる可能性があります。
しかし、すべての糖尿病ネコがSGLT2阻害薬の適応となるわけではありません。
治療開始前に血中β-ヒドロキシ酪酸(BHB)を測定し、ケトーシスの有無を確認することが重要です。
食欲低下、嘔吐、脱水の症状がみられる場合は糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)の有無も評価し、SGLT2阻害薬投与の可否については検討しましょう。
高血糖を引き起こす疾患の除外と体調の観察
糖尿病以外にインスリン抵抗性や糖尿病管理に影響する併存疾患として、膵炎、甲状腺機能亢進症、腎疾患などの併存疾患について評価する必要があります。
これらの疾患はインスリン抵抗性や治療反応性に影響する可能性があるため、併せて評価することが重要です。
また、尿路感染症もインスリン抵抗性に関与する可能性があります。
排尿困難や頻尿など下部尿路疾患を疑う症状があり、排尿困難や頻尿などの症状があり、かつ尿沈渣で炎症所見が認められる場合は、尿培養・薬剤感受性試験を行い、結果に基づいて治療しましょう。
まとめ
2026年版AAHAガイドラインでは、ネコの糖尿病管理に関する推奨が大きく更新されました。
ストレス性高血糖を考慮した診断や全身の評価に加え、SGLT2阻害薬という新たな治療選択肢や、在宅での血糖モニタリングも重要な選択肢となります。
単に血糖値をコントロールするだけでなく、ネコの生活環境や全身状態を含めて評価し、それぞれの症例に適した治療・管理方法を選択することが、これからのネコの糖尿病治療ではより重要になるでしょう。
獣医師S
【参考文献】
(1) 2026 AAHA Diabetes Management Guidelines for Cats
(2) Application & Use of a Continuous Glucose Monitor in Cats & Dogs
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