ビリルビン尿が出たときに考えること

尿検査の項目の中には、ビリルビンが入っていることが多いのではないでしょうか。通常、イヌもネコも尿中にビリルビンは含まれていません。イヌでは比重が高い際に検出されることがありますが、ネコでは高度の濃縮尿でもビリルビンは出現することはありません。ただし、臨床的に明らかな黄疸がみられる前に先行してビリルビン尿症がみられることがあるので、尿検査を行うことで早期の指標となりえます。

ビリルビンの測定の原理

ビリルビン検査は、ジクロアニリンとビリルビンのジアゾ反応でみています。尿中にビリルビンが存在するとジクロアニリンとビリルビンが結合してジアゾ反応を起こします。尿検査試験紙および機械によって時間が異なりますが、ビリルビンの検査を行う場合は反応までの時間がとても重要です。尿検査試験紙に定められている時間を正確に守りましょう。

また、ビリルビンは不安定な化合物のため、室温放置・光に当たることなどでビリベルジンに酸化されてしまいます。ビリベルジンになってしまうと尿検査試験紙では検出できないため、ビリルビンが偽陰性になってしまいます。検体の取り扱いには気を付けましょう。また、これはビリルビンだけに限ったことではありませんが、高度に着色した尿の場合、偽陽性が認められることがあります。

ビリルビン尿とは

ビリルビンは肝臓に取り込まれてグルクロン酸抱合をされる前の非抱合型と、抱合をされて胆汁に排泄される抱合型の2種類があります。非抱合型ビリルビンはアルブミンと結合し血清中に存在し、尿中には出てきません。すなわち、尿中のビリルビンが増えることは、抱合型ビリルビンの増加を示唆しています。

肝障害では抱合型ビリルビンの増加傾向があり、溶血性黄疸では血液検査などでの肝不全所見が正常なことが特徴です。肝臓の機能が正常の場合、非抱合型ビリルビンが増加していたとしても肝臓で処理され、抱合型ビリルビンが増加します。

溶血性黄疸でも結局は次第に抱合型ビリルビンが増加してしまうため、尿中ビリルビンの存在で溶血性黄疸を否定することはできません。そのため、抱合型と非抱合型を比較すること自体に診断的意義はあまりないとされています。

イヌとネコのビリルビン尿

ビリルビンは通常、尿中に存在しません。イヌでは腎臓でヘモグロビンからビリルビンへ代謝することができるため、尿比重が1.040以上のイヌの尿では弱いビリルビン反応が認められることがあります。比重が高い濃縮尿での出現では特に異常ではないので、問題ありません。一方で、ネコで認められる場合は、たとえ高度に濃縮している場合でも異常であり、血清中での抱合型ビリルビンの増加が示唆されます。

まとめ

尿検査で測定するビリルビンですが、イヌとネコで解釈が少し異なります。イヌの場合は健常犬でも出現することがありますが、ネコの場合は常に異常となるため注意が必要です。また、室温保存や光にも弱いため、検査をする場合は検体の取り扱いに気を付けましょう。

獣医師H

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